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(その他の監督: Marwen Abdallah, Franck Allera, Simon Astier, Julius Berg, Chris Briant, Jean-Christophe Delpias, Julien Despaux, Pascal Lahmani, Christophe Lamotte, Alexandre Laurent, Karim Ouaret, Eric Summer)
F 2009- @52 Min. TV
レギュラー出演者
Odile Vuillemin
(Chloé Saint-Laurent - 心理学教授、捜査協力者)
Philippe Bas
(Thomas Rocher - マシューに代わる殺人課捜査班主任、マシューを懐かしむクロエと反りが合わなかったが、徐々に打ち解ける)
Jean-Michel Martial
(Grégoire Lamarck - 捜査班の責任者、クロエをリクルートし、捜査に協力させる)
Vanessa Valence
(Frédérique Kancel - 捜査班の一員)
Raphael Ferret
(Hippolyte de Courtène - 捜査班のコンピューター要員)
Valérie Dashwoo
(La Doc (ドクター) - 法医学者)
たまに出る出演者
Fanie Zanini
(Lili - 前の事件で母親を失った少女)
Laurence Masliah
(Laurence Fisher - クロエの母親、死亡)
Juliette Roudet
(Adèle Delettre - 引きこもりの芸術家、行方不明の姉妹を探す)
Clémentine Poidatz
(Elisa - トマの妹)
Marie Kremer
(Louise Drancourt - クロエの偽妹)
第5シーズン第5回、第6回の出演者
Frederic Eng-Li
(法医学者の助手)
Ron Reznik
(Vincent Delahaye - メディア王、事件の村出身、
お邪魔虫)
Michèle Comba
(ヴァンサンの母親)
Pamela Ravassard
(Mélanie Drac - 制服警官、ヴァンサンの幼馴染)
Jonathan Devred
(Killian Mergat - 制服警官)
Jean-Michel Marnet (コンシエルジュ)
Christine Boisson
(Catherine Clark)
Joffrey Platel
(Paul Tardy)
Xavier Mussel
(Childéric Zeller)
Hubert Saint-Macary
(Lucien Steinberg - 犯罪学者、クロエと師弟関係にある教授)
見ている時期:2015年1月〜
2回続きです。フランスでは2本一挙放映なので、1日で視聴者は謎解きを終わりまで見ることができますが、ドイツでは1週間待たされます。2回続きなのに1回目と2回目で違う人が監督をしています。
前半と後半の頭は古典的な推理小説のスタイル、後半の半分ぐらいからは以前不完全燃焼になっていた事件のおとしまいがつきます。
この2回の前、本題の事件とは関係無く放送局や雑誌社のオーナーが登場。小型版ベルルスコーニ、マードック、トランプのような仕事に携わっている男性。わが子にてこずって困り切り、上から目線でクロエに助言を求めるというエピソードがありました。変な登場の仕方だなと思ったら、その人物が今日取り上げる事件で重要な脇役をつとめることになっていました。
★ 英国国営放送をパクったか
物語の発端は犯罪研究者のシンポジウム。パリを離れ、クロエはある島にやって来ます。そこのホテルで犯罪学研究者やプロファイラーが会合を開き、クロエも招待されます。船で島に到着するとクロエは顔見知りの教授と再会。出席者は専門書を出版していたり、有名人も含まれています。
その時一天にわかに掻き曇り、船の往来が止まり、島にいる人たちは外界から孤立します。
おや、どこかで聞いたような話だぞ。
BBC のロシア語放送に Отель убийств というタイトルの番組がありました。アガサ・クリスティーの作風を踏襲した推理物で、設定がそれにそっくりなのです。推理小説もどきのストーリーを素材にした英語教育番組です。
BBC は東西冷戦では積極的な役割を果たしていて、東側の聴取者をはっきりターゲットにしていました。いわばプロパガンダ作戦で、モスクワ放送と張り合っていただろうということは想像に難くありません。ベルリンも主戦場になっていて、西側に事務所があり、催し物があると見学に行ったりしたこともあります。西ベルリンの聴取者は本来のターゲットではなかったはずですが、投書をすると内容を取り上げてくれたり、懸賞に応募すると時々当たったりしました。投書をする人数が絶対的に少なかったためでしょう。(東ベルリンの住民がこの懸賞に応募したら恐らくは問題が起きたのではないかと思われます。距離にしてほんのわずか、電車の駅で言うと5つしか離れていない距離だったのですが、東ベルリンから西ベルリンに懸賞応募の葉書を出し、当たってプレゼントが東側に届くとどうなっただろうと・・・と考え込まざるを得ない時代でした。クリスマス・カードや誕生日のお祝いをあちら側に住む親戚に送ったりすることは一定の範囲で可能だったようではありますが、検査はあったと考えられます。)
当時の聴取者の多数は東の人だったと思います。東の放送局は内容に大きなバイアスがかかる時代で、世界がどうなっているのかだけでなく、東がどうなっているのかを知るにも外国の放送局の助けが必要でした。では西は開かれていたかというと、そうでもなく、西側のラジオを聴いていても西の事はさっぱり分からない時代でした。結局西も東も自分流にバイアスをかなりかけていたような印象です。
では BBC が中立かと言うと、それもとんでもない勘違いで、BBC には BBC 流のバイアスがかかっていました。しかしバイアスのかかった局の放送を1つだけ聞くのと、3つ聞くのではかなり様子が違って来ます。全部にバイアスがかかっていることを承知で聞くと、その中から「このあたりが本当だろう」というのが見えることがあります。
私が英国放送を聴いた理由の1つは西ドイツ、西ベルリン系放送局より情報の内容が深く分析されている点でしたが、他にもいくつか理由がありました。
・ 音楽ばかり流し、1時間に5分しかニュースをやらない局ではなかった
・ 制作にインテリな人が関わったとしても、聴取者に「これを聞いて理解できるのはインテリだけ」といった上から目線を感じさせなかった
・ アフリカ、アラビアなど西ドイツ、西ベルリンがあまりカバーしていない地域の情報が多かった
・ 科学番組がエンターテイメントと組み合わされていて楽しかった
・ 抱腹絶倒のクイズ番組があった
・ そういった番組が理解できるようにと英語教育番組がほぼ毎日あった
・ その素材に使われた物語が、英語の勉強と関係なくそれ自体おもしろかった
要は英国の制作人の方がドイツの制作人より手法が巧みだったということです。それは分かっていましたが、それでも退屈な番組がほとんど無かったので、私はよく聞いていました。当時は FM で、きれいに受信できました。
Отель убийств (=殺人ホテル)は恐らく今から数えると30年ほど前のことだったでしょうか、80年代か90年代頃西ベルリンでも聞くことができました。当時は BBC ドイツ語放送と、ワールド・サービスがあり、どちらも聞くことができたので私がどちらで聞いたのかは覚えていません。番組によっては両方で聞くことができたものがあり、ドイツ語版の方はドイツ語の解説がついていました。
これは当時の状況を考えると、第1外国語が普通ロシア語だった東ドイツの人に(こっそり)英語を学習してもらい、BBC のニュースを理解してもらうための手助けにしようという作戦だったのではないかと思います。世界情勢を BBC を通じて把握していたという人がかなりの数いたことが壁が開いてから知られています。
私は西側の人間で、学校でも第1外国語は英語。(「第2外国語」というのは「1番目に学習する言語が母国語(=ほぼ日本語)で、次に学習する言語」という意味らしいのですが、言葉だけ見ると「まず何か外国語を覚え、2番目に学習する外国語」のように取れてしまいます。ここでは母国語は外国語ではないので「最初に学習する外国語」という意味です。)好きな時に好きなだけ英語を勉強できる立場でした。それでも BBC の英語コースはエンターテイメントとして楽しかったので、いくつかのプログラムを聞きました。
その中の1つが Murder Hotel というタイトルで、どうやらドイツだけではなく、その後同じプログラムがロシア語放送でも使いまわしされたようです。元々 BBC の英語コースのプログラムは、特定の言語だけを意図して作られておらず、まずプログラムを作り、それを各国語版に作り上げて行く手法のようです。
Murder Hotel はアガサ・クリスティーのそして誰もいなくなったを意識して書かれたシナリオ。大きな賞までもらいながらストレスとスランプに陥った女流作家が周囲の人に言われしぶしぶ休暇に出ます。彼女の状況を心配した甥が誕生日のプレゼントとして招待したのは《殺人ホテル》と名づけられた殺人ゲームで、スコットランドの島で開催されます。ホテルの客の一部が殺人者を演じ、残りの人が犯人を当てるという趣向。ところが番狂わせが・・・という内容で、ホテルの客たちは暫くこの島に缶詰になります。たしか天候不順もあったと思います。
この週の冒頭はその話にそっくりでした。BBC をパクったのでなければクリスティーをパクったのでしょう。
★ あらすじ
島のホテルで開催された犯罪学の専門家のシンポジウムに集まったクロエたち。彼女と師弟関係にあるシュタインベルク教授も到着。再会を喜んだのもつかの間、天候不良ですぐ本土との交通が遮断されてしまいます。
クロエは間もなく手紙で空き地に呼び出され、行ってみると例のお邪魔虫、テレビ局と雑誌社の社主のヴァンサンがヘリで島に上陸。ホテルは以前彼の母親が働いていた場所で、今では彼が買い取ったとのこと。ヴァンサンはクロエがこの会議に出席することを承知しており、前の回でクロエに袖にされた彼は、再チャレンジ。
そんな中ホテルでは殺人事件が起き、地元警察が出動してきます。中の1人、婦人警官のメラニーはお邪魔虫とは幼馴染。クロエがパリのつもりで捜査で指揮を取ろうとするのでメラニーともめ、クロエはここでは尋問を受ける側だということを思い知らされます。
最初の事件ではクロエの部屋で死体発見。その犯人もはっきりしない間に次の殺人。 被害者はそれぞれ自分の研究発表と同じ手段で殺されていました。今度はシュタインベルク教授がクロエの目の前でピストル自殺。クロエが教授を抱きかかえ、そのピストルも手に取ってしまったので、彼女は一挙に容疑者に。(プロットの穴: CSI 的に教授の手とクロエの手を検査すれば硝煙反応の違いが出るでしょう。)
★ 内輪のエピソードが表に出過ぎ
パリではトマが直接事件に巻き込まれていました。トマの妹は移植手術が無ければ間もなく死ぬ運命。子供のベビー・シッターが事件に巻き込まれており、トマの妹の夫、トマの義理の弟はその女性と不倫をしていました。妹の病状を考えトマも義理の弟もこの話を伝えない決心。
そんな中クロエがとっ捕まったという話がパリにも伝わり、ティームはすぐにでもクロエ救出に出動したいところ。しかし管轄が違うことは誰にでも分かり、グレゴワは公式にはタッチせず、非公式にやろうと指示。全員がんばりますが、まだアデルとフレディーの間はしっくり行きません。しかしそれぞれの立場からクロエを何とかしようというところだけは一致。ばれないようにしないとクロエは殺人で15年の刑。
お邪魔虫は彼なりにクロエを心配し、わざわざ警官を殴りクロエと同じ豚箱に入って来ます。
クロエの目の前で教授が自殺したことで、パリでは教授の自宅の捜索令状を取るのに成功します。教授は生前武器の類を嫌っていたのに、よりによってピストルを手にしていました。クロエは教授はマリオネットの役を果たしていたと考えますが、メラニーはクロエが国家権力を馬鹿にしていると見なして検察に連絡。クロエの立場は悪化。
クロエはリリーを心配します。何とかトマと電話連絡がつき、トマの話だとクロエの母親がリリーの世話をすることになったとのこと。
クロエはこの件で誰かがクロエとシュタインベルク教授を同時に傷つけようとしていること、頭のいい患者は医者と患者の立場を逆転させる力があることなどに触れます。また、パリの事件でベビー・シッターを殺した犯人はちょっと前まで精神病院に収容されており、退院したとたんにぶり返し、殺人に至っていました。クロエはこの件が一種の前準備だったのではと言ったところで、電話は切られてしまいます。
パリでシュタインベルク教授の家の家宅捜索をしていたティームは患者の名簿にクロエの妹だと言い張っていたルイーズの名前を発見。これで事件の様相はガラッと変わります。トマとマシューは直接知り合いではありませんが、トマは自分が死んだマシューの後任だということは十分承知しています。
とんでもない展開になった事件。彼女の狂いようは尋常ではありません。相手がルイーズですと何人かの命が危険にさらされます。
ルイーズはマシューを殺した後、刑務所ではなく精神病院に収容されていました。責任能力が無いことが認められているので、今後何人殺しても罪に問われることはありません。ルイーズは3年間世間に出ていないのにやたらクロエやアデルについて詳しく、アデルを傷つけるような事を散々言って挑発しようとします。アデルは実はそのあたりを計算していたようですが、アデルがルイーズと1対1で対決したいと言うと、目的はルイーズの逮捕ではなく、無実のクロエを釈放させることだと言ってトマが止めます。
視聴者はアデルの演技(演出)に騙され、彼女がルイーズの策略に乗せられたような印象を受けますが、アデルは身を挺してクロエを助けようとしており、迫真の演技でルイーズを信用させます。いくつかのいきさつで2人揃って逃避行。その間にアデルはルイーズからサイン入りの自白署を取ります。ルイーズはアデルが彼女に惹かれたと思い込みますが、他方ルイーズはアデルとの恋愛関係にはさほど関心が無く、クロエを殺すか自分の物にすることの方が重要。
2人は田舎の家に隠れます。この家はかつてアデルと妹が閉じ込められていた悪夢の現場。当時の事を思い出し取り乱すアデル。そのためルイーズはすっかり自分がアデルの心をつかんだと思い込みますが、そうは問屋が卸さない。そこへトマたちのティームが飛び込んで来て、無事アデルは救出、ルイーズはお縄。今度ばかりは自白署があるので、刑事裁判になります。めでたし。
第5シーズンは毎週のメインの事件が霞み、ティームのメンバーのエピソードが多過ぎる印象を受けます。
第2シーズン
01 第3話
02 第4話
03 第5話
04 第6話
05 第11話
第3シーズン
06 第1話
07
08 第3話
09 第8話
10 第10話
11 第12話
12
第4シーズン
13 第3回
14 第7回
15 第6回
16 第8回
17 第10回
18 第12回
第5シーズン
19 第1回
20 第4回
21 第5回、第6回
22 第7回
23 第10回
24 第11回
25 第12回
第1シーズン
26 第1回
27 第2回
第6シーズン
28 第1回
29 第2回
30 第3回
31 第4回
32 第5回
33 第6回
34 第7回
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