★　またもやティームの裏話

メインの事件は薬を飲まされてこん睡状態に陥ったクラリスに誰かが性的ないたずらをしたらしき事件。同じ女性が何度か警察沙汰になっているのですが、物的証拠に乏しく、病院の検査を断わったりするので、彼女が人の気を引くためにやっているのではないかと思われるようになり、信用を失っています。実際目を覚ました彼女に変な感覚が残ってはいるのですが、所謂暴力を使った暴行を受けたのでもなさそうで、曖昧です。

一般の捜査と違い、心理学的なアプローチをするクロエはクラリスの挙動には信憑性があると判断しますが、物的証拠は今のところ挙がっていません。

この事件はやや意外な展開を見せ、最後はきちんとおとしまいがつきます。動機がちょっとばかげているので、事件としては弱いです。

それで補強しなければ行けないと思ったのか、この週はやたら内輪のエピソードが並びます。

☆　またもやジェシカ

前回、前々回、クロエの偽妹ルイーズが再登場。散々クロエたちを困らせた後退場しています。

今回はフレッドの妹のジェシカが再登場。前に出た時いずれまた何か問題を起こすだろうという感じだったのですが、見え見えの演出で、予想はやはり当たっていました。

ジェシカが無断でフレッドのアパートにフレッドの同僚を全員招待してドンチャン騒ぎのパーティーを催し、イポリットをベッドに連れ込んでいました。何とその結果ジェシカは男の子を出産。

ある日突然警察に子連れで現われ、何も言わずに子供をイポリットの事務所の前に置き去りにします。ジェシカを子供の頃から知り尽くし、いつも後始末をして回っていたフレッドはカンカン。とにかく DNA で確かめなければと思い、フレッドは他の捜査に紛れ込ませて検死医に子供の唾液と、イポリットの毛髪を渡します。結果は「99％親子だろう」というもの。

フレッドはジェシカが名門の家の出のイポリットの財産を狙っているのではないかと疑いを抱きます。加えて、ジェシカは過去にも似たような騒ぎを何度も起こしているので、フレッドはイポリットをこういった騒ぎから守ろうと決心。イポリットには「親子関係は無かった」と嘘をつきます。

しかしこの秘密は後でジェシカが乗り込んで来てばれてしまいます。フレッドがイポリットを思いやってやった事ですが、イポリットまでがジェシカ側についてしまい、フレッドはまたもやジェシカにしてやられます。この話は今後の回にまだ出て来そうです。特にフレッドはイポリットと1度別れていますが、リリーやクロエの話を耳にしており、男女の役割が逆で、イポリットが家庭的、フレッドが男っぽく仕事に取り組む関係でうまく行くのではないかという矢先でした。特にジェシカに引っかかった男たちを何人も知っているフレッドとしては絶望的な気分です。

☆　だめよ、だめだめ

アデルは前回非常に精神的負担の大きい事件に遭遇しよれよれ。それでもようやくまた署に戻って来ました。署員は彼女を温かく迎えているのですが、アデルには自分の過去の経験から、人の親切を素直に感じる力が不足しています。

マシューやフレッドと揉め、クロエは以前はアデルと似たような状況にいました。それでもクロエは徐々に署に慣れて行きました。少しずつ人の親切を感じることができるようになっており、ティームワークは良くなっています。母親の発見、その事件の解決がクロエを落ち着かせたのかも知れません。

後記: 後で再放送されたので第1シーズンを見直しましたが、クロエがティームに入った当初はマシュー、フレッドとひどく揉め、中立の立場を取っていたのはイポリット1人。グレゴワはクロエとの関係を周囲に秘密にしていたので、引っ込んでいます。アデルもそれに似た感じで周囲と揉めてばかりいます。

アデルはルイーズとクロエの中間ぐらいの状態ですが、ルイーズと違いはっきりした道徳観があるので、違法な事をする場合も事件を解決するためとか、犯人を捕らえるためという理由であり、自己満足のためには犯罪に全くためらいを感じないルイーズとは一線を画しています。

ただ、子供の時に生き別れになった妹や母親が恋しく、長い間引きこもりでもあったので、人との付き合い方の尺度が極端で、警察で仕事をしていても自分では浮いているように感じていました。非常に孤独な人物です。回を重ねるごとにクロエの親切さは分かるようになり、礼も言えるようになりますが、まだ他の人とはしっくり来ていませんでした。

そんな中トマの親切さも少しずつ感じるようになり、ひょんないきさつからホームレスになった短期間トマのアパートに居候させてもらったりもします。そこでトマの息子ルカとも仲良くなります。

ルイーズの事件の最中に自分が閉じ込められていた家を訪ねたこともあり、改めて心に傷を負ったアデルは寂しさのあまりトマのアパートにやって来て、トマを誘惑します。

私は「だめよ、だめだめ」と思いながら見ていましたが、2人はベッド・インしてしまいます。私にはむしろクロエ母子とトマ父子の方が合うように思えたので、アデルはややお邪魔虫。で、ふと思ったのがあのメディア王のお邪魔虫とアデルなら合うのではないかということ。番組を長引かせるためにはここですっきり組み合わせが決まってはだめ。なので、これから話がややこしくなるかと思ったのですが、なんと一夜をトマと過ごした後、アデルは飼い犬を連れて警察を出て行ってしまったのです。

彼女は第6シーズンの5回目にもクレジットされているので再登場は確実。ただ、そのタイトルが《犠牲》となっているので、死んでしまうのかと心配です。

★　メインの事件

クラリスは写真家。警察に申し立てていた被害は事実でした。クラリスはちょくちょく自宅で倒れ、その間に確かにどこかの男が侵入していました。

クロエが質問のためにクラリスの家を訪ねた時、クラリスだけでなく飲み物を口にしたクロエまでが倒れてしまいます。トマが駆けつけ2人を病院に搬送させたため、命に別状はありませんでした。

種明かし: クラリスの台所の水道の清浄機に薬が仕掛けてありました。今度は本気でクラリスの自宅を捜査。寝室と風呂でカメラが発見されます。犯人はクラリスが意識を失ってからやって来るので、見つからないわけです。

クラリスと犯人の接点を探しているうちに彼女が注文している写真の現像所が浮かびます。最初は持ち主が怪しいということになりますが、やがてそこへ通って来る現像所の助手のジュリアンとの接点が見つかります。

それだけならただの変質者。殺人をしたわけではないので、適度な懲役刑、もしかすると執行猶予で解決でしょう。ところがここから一捻りしてあります。

全体像をつかもうと分析するクロエにはしっくり来なかったのですが、ジュリアンの家の中に猫がたくさんいます。家は血だらけ。冷蔵庫には血液のサンプルが。これを全部結びつけると、ジュリアンの覗き趣味がぴったり来ないというのがクロエの意見。まあ、でもジュリアンが猫の血を飲んでいたのではないかという話になって行きます。

この先は馬鹿馬鹿しくなります。

ジュリアンは有名なゴールデン・タイムに放送される人気政治番組のキャスターをつとめるエステルの1人息子。父親はジュリアンが3歳の頃去っています。母親が強過ぎたため、ジュリアンは通常の形のガールフレンドを作ることができず、こういう変な形を選んでいます。

クロエは「こういうタイプの男性は1人の女性に固執するものだ」と言うのですが、ジュリアンのコンピューターからは20人以上の女性の写真が見つかります。この女性たちも何かしらの被害を受けていた模様。

そのあたりまで突き止めた頃にクラリスが収容されていた病院から失踪。ジュリアンも消えます。ジュリアンは間もなく発見され、クロエが説得を試みるのですが、自殺してしまいます。そのためクラリスの居所を知ることができませんでした。

クラリスはどこかに捕らえられていて、血液を採取されています。

エステルはなぜか急性の抜け毛に悩まされています。

あほかと思える真実とは・・・: 中年から老人になりかけているエステルが若さを保つために若い女性の血を飲んでいたのです。当初クロエたちはジュリアンが最初猫の血を飲み、後で興味の対象が若い女性にエスカレートしたのではないかと疑ったのですが、実は順序が逆でした。

エステルがジュリアンに若い女性の血を集めさせていたのです。多くの女性は意識を失った後何が起きたか分からずに生還していました。そしてある日ジュリアンはクラリスに恋心を持つようになります。なので彼女から血を採取せず、猫の血を母親に渡すようになっていました。

母親はそれに気づき怒ります。そして今はクラリスがエステルの人質となり、どこかに隠されています。クロエはそこまでの真実を探り当て、ニュース番組の本番直前のエステルに話しかけ、クラリスの居所を吐かせることに成功。一件落着。

★　現実的な感想

私は菜食主義ではないのですが、それでもこのエステル、よく人の血なんか飲むなあと思いました。ジュリアンもエステルも医学関係者ではなく、血液の処理はしていないようなのです。ということは菌が混ざっていたり、薬の痕が残っていたりするわけですし、女性たちを眠らせるために睡眠薬も使っているわけで、不健康この上ないです。

私も年なので皺ができたり、白髪が出て来たりしますが、水分を1日2リッター強取ると、化粧品や医療クリームを使わなくてもかなり若返ります。

年を取ると年を取ったように見えますが、そのうちのいくつかは自分で原因を作っているのだなあと思うようになりました。

まず、年を取ると普通の人は運動量が減ります。日常生活の行動範囲が限られるようになったり、上役なので座っていればいいということになったり、60年代に比べると交通が便利になっていたり、エレベーター、エスカレーター、車など様々な理由で、体を動かさないで1日が過ぎるようになります。

これで真っ先に影響を受けるのが血行。血行が悪くなると、栄養素などを体の隅々まで運ぶ機能が十分に使われなくなります。

次に影響を受けるのが血の濃度。年を取るにつれ水分を取らなくなる傾向があります。なぜかは分かりません。私の場合デスク・ワークが増えたため、水を飲むのを忘れてしまうことがあります。失業中は毎日軽く2リッター飲んでいたのですが、仕事を得てからは休み時間にちょっと体を動かす程度で、水を飲むことを忘れてしまったりします。体を動かすと汗も出るので水が飲みたくなりますが、動かさないと体から水分があまり出て行かないためかも知れません。

水をがぶがぶ飲むと血液があまり濃くなりません。なので血行は良くなります。ついでに言うと頭痛の解消にもなります。単に血行が悪くなっているだけの理由で頭痛が起きることがあるのです。また、ドイツ語で Migräne と呼ばれる特殊な頭痛の症状の中に一時的に視力障害を起こすものがあります。強い頭痛を伴う人もいれば、頭痛無しの人もいるのですが、いずれにしろ視界が非常に強くさえぎられ、車の運転などはできなくなります。これも水を飲むとあっという間に（約30分）で治ってしまいます。眼科の話だと、脳の血管が狭まると起きるのだそうですが、水で治ってしまうので、私は薬を取ったことがありません。

・・・とまあ、ただ水を飲むだけでかなり若返る上に頭痛無しになったり、いい影響があるので、わざわざ人を眠らせ、誘拐し、血を盗むなどと手間をかける必要はなかったのに、ジュリアンは死んでしまい、キャリアを上り詰めたエステルは逮捕でした。めでたくありませんねえ。

かなり不自然な展開でした。