えっ?!
こんなところに仏教語!


  

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 合掌。


第 198 回
往来

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
お正月も随分様変わりしまして、普段とあまり変わりがないですね。大型店やモールにたくさんの人が集まっているというだけで、お正月という感じではないですな。と、そう思っているのは昭和育ちの人たちなのでしょうね。最近の方は、昔のお正月なんぞ知りませんから、お正月と言えばショッピングセンターでお買い物がお正月なんでしょうね。かつてのように、往来を行く着物姿の人たちを見ることも少なくなりました。ま、これが平成・令和のお正月なんでしょうな。
「往来」などという言葉も最近では使わないですね。「往来を行く人々が・・・」と、たまにニュースで聞く程度でしょうか。あ、ちなみに「バックオーライ」の「オーライ」と「往来」は違いますな。皆さんご存知だと思いますが、念のために。「バックオーライ」の「オーライ」は「all right」のことですね。意味は「差し支えないです」ですな。
では、「往来」は?・・・今回は、この「往来」についてお話いたします。「往来」も仏教語にあるんですよ。

新明解国語辞典によりますと「往来」とは
①ゆきき。
②道路。通り。
③生活に必要な物の名を手紙文の中で列挙した、昔の教科書。
とあります。
①は「行ったり来たり」の意味ですね。②は、ニュースなどで言う「往来を行く人々・・・」は、「道路、通り」のことですな。①の方は、あまり使われませんな。「往来する」というより「行き来する」と言いますよね。往来の方は、ちょっと古臭い言い方のような気がします。というか、昔の言い回しなのでしょうな。
③はよくわかりません。どうやら昔の書物や教科書に「〇〇往来」というのがあったそうです。また、遠方から調達したものや輸入品を「往来物」と言ったりしたそうです。舶来物・・・と言うのは昔よく聞きましたが、「これは往来物だ」と言うのは聞きませんよね。ずいぶん昔の言い回しなのかもしれませんな。ひょっとしたら、古い映画やTVドラマなんかに出てくるかもしれません。
最近は使われなくなった「往来」ですが、主な意味は②の道路や通りですな。辛うじて、この意味では使われていますね。

では、仏教語の「往来」はどうでしょうか?。お馴染みの仏教語大辞典によりますと
①生まれかわり、輪廻すること。
②過去と未来。
③ゆきき。実際のありさま。
とあります。現代の「往来」の意味に通じているのは、③ですね。それ以外は、現代の「往来」には関係していませんな。
そもそも「往」は「行くこと」ですが、仏教では「あの世へ行く、浄土へ行く」ことを意味していますな。「往く」と書いて「亡くなった」という意味となりますね。今でも弔辞などで亡くなったことを「あの世へ往かれました」と言いますね。その際に「いく」という字に「往く」や「逝く」をあてますな。できれば「往く」のほうがいいと思いますな。「往く」は「浄土におもむく」という意味がありますからね。
人は亡くなって「あの世へいく」ことになりますが、何かに生まれ変わります。仏教ではそう説きますな。人だけでなく、生命のあるものはすべて生まれ変わります。輪廻しますね。それを「往来」とも言うのです。これが①ですね。別の世界と人間界を「ゆきき」するのが輪廻ですから「往来」となるのですね。
そこから②の意味が生まれますな。生まれ変わりは、過去でもあり、未来でもあります。過去は前世、未来は来世ですね。過去の生があり、現在の生があり、未来の生がある、それが生まれ変わり・輪廻ですな。なので、輪廻を意味する「往来」に過去と未来の意味が生まれたのでしょう。ということは、①②は同じような意味になりますね。

さて、私たちは誰もが輪廻しております。仏教ではそう説きますな。まあ、実際そうなのですよ。生まれ変わっています。誰にも前世がありますな。そして来世もあります。
よく、前世を知りたい、という方がいますが、知ってどうなるのかな、と私は思います。まあ、知りようもないですけどね。あぁ、巷にいらっしゃる「前世を見ます」的な占い師というか霊能者というのは胡散臭いですな。だって「あなたの前世は〇〇です」と言われてもねぇ、証拠もないし証明しようもないし。何とでも言えますな。いい加減なことを言っているとしか思えませんな。まあ、実際そうなのでしょうけど。

お釈迦様は、
「現世を見れば(よく観察すれば)、前世も来世もわかる」
と説いていますな。たとえば、現在、お金に苦労している人は前世で貪ったのだろうな、ということです。現在、裕福な人は前世で貧しいながらもたくさんの人を助けてきたのだろうな、ということですね。現在、人間関係で苦労している人は、前世で多くの人に迷惑をかけてきたのだろうな、ということですね。
つまり、現在の自分の姿をよくよく観察して、その原因は前世にあるのだ、すべて身から出た錆だ、自分の責任だ、と知りなさい、と教えているのですね。
同時に、この世で悪いことをすれば来世は罰を受けることになる、この世で善いことをすれば来世で安楽な生き方ができる、とも教えているのですよ。
苦労は前世の自分の行いの報い、現世の自分の行いが来世に反映する、それを知りなさい、ということですな。

前世を知っても意味はないですが、現世の姿を省みて前世を考察し、現世で悪いことをしないようにするのはいいことですね。また、来世を考えて、現世で善い行いをするというのもいいことですね。
ニートで引きこもっていると来世はアリになってしまいますよ。今年こそは、部屋から脱出して、来世にアリにならないよう働く、そういうことが大事なのですよ。
来世を予測して、現世を正しく生きる。それが大事なのです。そうして、この世と浄土を「往来」したいですな。
合掌。


今までに紹介した日常に生きる仏教語
挨拶、我慢、旦那、億劫、安心、外道、内証、出世、縁起、知識、法律、知事、上品、脱落、覚悟、洗い晒し、有頂天、意地、退屈、滅法、金輪際、暗証、勘弁、根性、威張る、大げさ、アバタ、微妙、義理と人情、オシャカとオダブツ、仏頂面、迷惑、邪魔、地味、三昧、学生、毛頭、通、ガリガリ、講師・教師・教授、無念、相好、言語道断、声明と呂律、無頓着、断末魔、観念、用、一味、観察、極楽、祇園、一念発起、舎利、堂々めぐり、精進料理、道理で・・・、食堂、成仏、勝利、まだら模様、念力、真空、娑婆、不思議、娯楽、方便、超越、閻魔帳、他力本願、分別、お礼参り、往生こいた、冥加と冥利、坊主、一蓮托生、疑惑、馬鹿、四苦八苦、百八、玄関、正念(場)、妄想、決定、因果応報、上座・下座、ナムサン、縁日、般若、無心、天邪鬼、無事、まんじゅう、説教、所得、事業、智慧、融通、盆、入道、四天王、彼岸、醍醐味、入院・退院、接待、性欲、業が深い、阿吽、遊、自業自得、魔、慚愧、修行、愛、面影、鬼、お祓い、習俗、引導を渡す、睡眠、是非、大丈夫、修羅場、施設、ダルマ、悪口、おっさん、喝采、失念、雪隠、なんじゃもんじゃ、葛藤、殊勝、選択、悲願、非情と無情、初心、便利、不信、資生(堂)、愛蔵、不審、時機、イロハ、許可、空想と虚空、一流、能力、時薬、一心不乱、伝法、喫茶、愛、隠密、懺悔、中道、円(圓)、塔、卒塔婆、中元、不覚、本性、本質、過度、不安定、是非、居士、種子、同行、世間、抑止、遠縁、シャカリキ、破邪顕正、本心、開、消息、所得、交通、律儀、奈落、凶暴、行儀、チクショウ、影響、秘密、小僧、思想、思惑、がらんどう(伽藍堂)、飛車、火災、無性、シッペ(返し)、無法、妙、執事、帽子、無上


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