「Promises Promoses」のはじまりは瑞々しいトロンボーンとサックスのハーモニー。荒野を走る駅馬車のイメージが重なります。サックス、トロンボーン、ピアノ、ドラムと次々にソロを奏で、それぞれが素晴らしい。クルセイダーズが繰り広げる西部開拓史をスクリーンいっぱいに観るかのよう。
「Love And Peace」も、「ビリーザキッド」とか「ケーブル・ホーク」などの西部劇を彷彿とさせる曲で、ゆったりとした時の流れを心ゆくまで味わえます。この延長線上に名曲「WAY BACK HOME」や「SO FAR AWAY」が誕生したのでしょう。
そして極めつけは「Hey Jude」。ヘイ、ジュードではなく、ヘイジュードと流す。ジョーサンプルの指さばきもことのほか雀踊りしている風情。ポップ感あふれ、ファンキーで軽やか、心が弾みます。クルセイダーズは重厚さを排して、あくまでも軽量級に仕上げています。このセンスはお見事というほかありません。魂はコリをほぐされ、軽やかに浮遊するでしょう。
「Sting Ray」、「Cookie Man」もまたみごとなクルセイダーズ版マンボ。五臓六腑が欣喜雀躍するは必定。
「Love Is Blue」も思わぬ見っけもの。一冊の短編集を読んでいて二編も佳品に出会えば幸運の部類といえますから、粒ぞろいの今回のアルバムは文字通り僥倖。なかでも「Hey Jude」は魂をほぐす見事な整体術。これに勝るものはありません。
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