このジャケットの写真が好きですネ。向かって右からグリーンのセーターをラフに着こなし譜面を覗くWAYNE HENDERSON、ダンディーな黒装束で演奏全体の息づかいを測るSTIX HOOPER、普段着の半袖シャツそのままに軽く頷くWILTON FERUDER、いささか緊張気味に確認作業に余念のない黒いサングラス姿のベース客演のROBERT HAYNES、咥えタバコで「サァ、そろそろプレイしようぜ」とばかりの黒セーターにブルーのタートルネックのJOE SAMPLE。おそらくセッション前の打ち合わせでもありましょうか、何ともいえない和やかさと熱気、躍動感が伝わってきます。その写真上下の黄色いスペースのとりかた、グレイで「The Jazz Crusaders」、ブラックで「Tough Talk」、そしてレッドでレコード・レーベル。この色使いが絶妙。聴く前から期待を抱かせるに十分のファンキーな舞台設定といって良いでしょう。
今回のアルバムで、いかにもクルセイダーズ風だなって感じましたのは「Togh Talk」、「No Name Samba」、それに、後のクルセイダーズ独特のまったり節の前兆を思わせるトロンボーンとサックスが交互に愛を交歓するラブリィーなバラッド「Lonly Horn」も好きですネ。
でもこの頃の「Togh Talk」って、リズムが猪突猛進って感じで、それから10年後の「THE 2' CRUSADE」で演奏されたものと比べると随分違う。2' CRUSADEでは気だるい雰囲気の中でドスを利かせるような按配。このリズムの速度の差は、鉄砲玉から大幹部に到る「場数を踏んだ」経験の差、チンピラの抗争から、顔でケリを着ける貫禄の差とでも申しましょうか、そんな印象。
それから「No Name Samba」も軽快そのもので、実に心地よく肉体を揺さぶってくれ、爽快なペパーミントみたいな味わいでした。
|