twnovelまとめ


2009/10/13 18:48

021「探偵団顛末」
 ぼっ、ぼっ、僕らは少年探偵団。ひとりは喰われ、ひとりはハニートラップで簡単に秘密をしゃべり、ひとりはとさかにきた姉ちゃんに追い回されて帰ってこない。こうして誰もいなくなったが、それもこれも姓名判断、字画が悪かった。よっ、はっ、わてらは少年物見組ならよかった。田園調布に家も建った。
022「1Q」
[このはし、わたるべからず。たぬき。]「狸からの警句ですかね」「たを抜けということだよ。橋を割るなということか」「君子危きに近寄らずです。他をあたりましょう」「こんなときに一休がいればなぁ」「こういうとき位しか役に立たんものなぁ」無論、後の一休宗純のことである。
023「お前の母ちゃん」
「お前の母ちゃんでーべーそー!」と陰から叫ばれて、やれ懐かしい罵声と帰宅すると両親とも沈鬱な面持。実はお前はママの本当の子ぢゃないんだ。な、なんですと。嘘だ! 顔色も#C7C49Bと#FFFDD5位しか違わないし! だがお前の実のお母さんの名前はデイビー・スー…
10/14 00:45

024「お墓の薔薇」
 墓に供えるのに花束を買った。薔薇の和やかな棘に指をなぞらせているうちに妙な気になって、一本だけ抜いて地に挿してみた。奇跡があれば根付くかもしれない。一年後には紅の花が墓をぐるりと取り巻いて咲いていた。薔薇は私の手から花束をひったくると、むしゃむしゃと食べ始めた。
025「あるところにー」
 昔々、アルトコロニー。ギノン暦 1894年、このコロニーでは初の大統領選挙がおこなわれていた。覚え方は一発急所に大統領。一発急所に大統領。はい、で、この大統領の名前が朕・ノタマ。一発急所だチンノタマ!  あのさおまいさん、今日はもう寝たほうがいいんじゃないのかい。
026「家族」
 そんなわけで家族がひとり増えることとなった。経緯についてはいまさら思い出したくもないが、あの時選択肢に「火柱を吐く片目の黒人秘書」と「プラスチックをもりもり食べる白人モデル」のほかに「子連れの広末涼子」があったら迷わず広末を選んだだろう。でもまぁ、過ぎた話だ。
027「でく」
 ゼペット翁に作られたクレオパトラはM&Aを駆使してとうとうエジプトの女王の座にのぼりつめた。「木偶も人足も誤差の範囲内」などの名言を残すが、ひどい虚言癖のため鼻がにょきにょきと伸びて人間でないことがばれてしまう。――その後の事はパスカルが述べているような通り。
028「夕暮風景」
「犬がとっても青いから、青い犬だよブルドック」「ちがうやいブルドックは茶色だよソースだし」「ブルが三ったりでブルースリー、御代は見てのお帰り」「チャーシュー煮てたら義母に取られた」「ウーワンワン キャウン」「おんあぼきゃべいろしゃのう」赤子が寝ていると八釜しい。
10/15 15:48

029「味噌キャベツ」
 はじめてふたりで飲みに行ったときの思い出といえば、突出しの味噌キャベツがおいしくてただひたすら、ただひたすらにキャベツばかりをぱりぱりさくさくとかじっては注文した覚えしかない。しいていえばこの不作でこんなにキャベツばかり食べてていいのかみたいな話を。
030「掃除機じいさん」
 金木犀の散らばる石畳を掃除機爺さんが犬と散歩している。「シロや金木犀の匂いってのはいいもんだろう」「おじいさんったら花をみんな吸っちまうんだもの」「仕方ないさ掃除機だもの」来年は一緒に見られるかどうか。昨日靴下を吸って、詰まったのである。