1978 Nakano Sunplaza |
観客のざわめき、やがて鳴り響く始まりのブザー音。挨拶代わりにドラムと重低音のベースのパンチ炸裂。
「Swang Dog」。いやますライブ独特の臨場感。
自然と体のマグマが陽動する。大胸筋から上腕二頭筋あたりに効いてくるのがはっきりと
分かる。達磨の魂にスイッチの入る瞬間。
今回はStix Hooper、Wilton Felder、Joe Sample、Billy Rogers、Robert Popswellと
錚々たる侠の顔ぶれ。誰が何と言おうとクルセイダーズは素晴らしいと体が歓喜の声を
上げているのが心音から聴き取れます。これがクルセイダーズライブの醍醐味。
身も心も熱くなる闘魂サウンド、時には感涙にむせび、時にはラブリーな情話も奏でてくれる、
メリハリが効いた男心を濡らすクルセイダーズのライブに四の五の言わずに付き合ってみるのが男の作法。
「中野サンプラザ」ライブを体験したファンは世界一のしあわせ者です。
障子越しに差し入るほのかな日差しのような和風の色合いのJoe Sampleの指使いで始まる「Hard Times」は、
Stix 、Wilton ,Joe御三家が呼吸を確かめ合うような趣。
Wilton Felderの男道を示す堂々とした骨太のテナー。これが粋というもの。
Billy Rogersの力の入った股旅旋律。さながら絶頂アクメサウンドとでも呼びたい
ような「Chain Reaction」への絶妙な入り方。濡らし方が上手い。以前「Soul Shadows」でBill Withersを起用した
クルセイダーズの慧眼に
一驚し、敬服したことがありましたが、この惜しくも夭逝したギター侍を引き連れて来日したクルセイダーズ
は、やはり侠の目利きでした。
「Keep That Same Old Feeling」、Wayne Hendersonのいないところで、この曲を聴くのはちょっぴり寂しい気がしますが、
さすがはポップスウエル先生、
男の航海の舵取りをしながら「初心貫徹」の心意気で晴れやかに歌ってくれているのは嬉しい限り。
名曲「Way Back Home」では、いつもながらのWilton Felderのテキサステナーの風に「人生って、やがてはまたふるさとへと帰る股旅だろう」
と噛みしめながら聴き入ってしまいます。「サンキュー!」と、それが確かなWilton Felderの声だと分かると、
「こちらこそ、ありがとう」とクルセイダーズへの感謝の雄叫びが怒涛のように胸の内に押寄せてきて、嗚呼またしても目頭が熱くなる始末。
最後は、Joe Sampleの情の綴れ織「Wildest Dream」で締めくくってくれたクルセイダーズ、
唸るほどニクいエンディングに、ハートはもうビショビショ状態でした。
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