「クルセイダーズが好きで・・・」の半斤八両さんがブート盤について言及されているように、
そのジャケットに記されているデータには誤謬が多く、額面どおりには俄かに信じがたい側面があります。
ブートの性格上これはいたしかたないことでしょうが、痒いところに手が届かないような隔靴掻痒の感に
いつもとらわれます。このあたりの良い加減さはテキヤの啖呵売にも似て憎めないところではありますが。
今回のブート盤、一曲目の「Conversation」を聴けばすぐさま1984年、東京は簡易保険会館での
読売日本交響楽団とのジョイントコンサートだと察しがつきます。当時のコンサート模様は既に1984年にビデオで販売済みですが、
今回のブート盤は、同じメンバーの別ステージでの収録のようで、曲目が変動しています。
すでにこの時クルセイダーズの鼓動を打っていたドラマーのStix Hooperはいません。残っているのはJoe Sampleと
Wilton Felder。しかし、
アルバムに収録された全8曲を通して聴けば、そこにあるのは紛れもなくクルセイダーズ。
ほとんどの曲がJoe Sampleの作品で構成されており、アルバム全体
を貫くのはJoe Sample鍵盤作りのガラス細工のような「情感」。繊細な「情」を織り成すため、Wilton Felderは、いつもの
野太いテナーに代えソプラノサックスを多用。残った純粋クルセイダーズ、Joe Sample、Wilton Felderお二人はピタリと息を合わせ、
闘魂クルセイダーズの軸は寸分も揺るぎません。
聴きながら思わず知らず熱くなっている自分に気付きます。
7曲目の「Chain Reaction」で息を潜めた「情動」が、クルセイダーズの
演奏と連鎖反応で身震いしながら息を吹き返します。七転び八起きの達磨魂。やっぱりクルセイダーズがそこにいる!
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