「マッチ擦る つかのま海に霧深し 見捨つるほどの祖国はありや」(寺山修二)を口ずさめば、あの日本映画
華やかりし頃の石原裕次郎主演の日活映画を思い出します。 当時、無国籍映画と称された裕ちゃんの映画に
は決まって霧にむせぶ波止場が出てきたものです。霧のたちこめた波止場で口にくわえたタバコにマッチの火
を点した主人公は広漠と広がる海原を目前にして、いったい何処へ行こうとしていたのでしょう。此処ではない何処か
へと霧笛とともに祖国を去っていく流れ者のような主人公。デラシネ。
そうtorigenさんに感ずるは、このデラシネでした。
今回、またまたブート盤のご馳走の恩恵にあずかり感謝に
たえません。これまでどれほど多くの恩恵をtorigenさんに頂いたことでしょう。心より御礼申し上げます。
そのお方にデラシネとは、恐縮千万かもしれませんが、これは男の背中に宿る哀愁のたたずまいを敬する賛辞
と分かっていただきたいのです。torigenさんちへのリンクで「夜店でテキ屋よろしく啖呵売を演じ
るのは勿論torigenさん」とご紹介しているのは、とりもなおさず祭りとともに去っていくテキ屋の哀愁を込めたつもりでした。
torigenさんとの縁結びの闘魂の神がクルセイダーズでした。まだお会いしたことはありませんが、男気のお方
と察します。
いただきましたブート盤のジャケットは、「仁義なき戦い」のポスターを彷彿とさせ、このアルバムが力瘤
盛り上がる傑作であることを物語っています。全ては見かけどおり。
今回のブート盤は、とりわけJoe Sampleの語りが多い。寡黙のヒトとばかり思っていたジョーさん、とにかく
言葉が溢れ出るばかりに、想いを語りつくしたいのでしょう、だから
息子のニックさん顔負けに元気はつらつとしてパワーフルです。
torigenさん、今、体に変調を訴えられており、心配なのですが、何の何のご本人は、ブログでジョーさんのように
大いに語り、病を跳ね飛ばさんばかりにお元気です。聴こえてくる「Put It Where You Want It」はひょっとしたら
デラシネの行進曲かもしれませんね、torigenさん、お互いがんばりましょう、「人生はマウンド、完投するまで
決して降板するな」(村田兆次)ですよネ。
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