huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
 
送別

                        隋・無名氏


楊柳靑靑著地垂,
楊花漫漫攪天飛。
柳條折盡花飛盡,
借問行人歸不歸。





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                      送別

楊柳(やうりう) 靑靑(せいせい)  地に()きて(しだ)れ,
楊花(やうくゎ) 漫漫(まんまん)  天を(みだ)して飛ぶ。
柳條(りうでう) 折り盡くして  花 飛び盡くす,
借問(しゃもん)す:「行人  歸るや歸らざるや?」

             ******************





◎ 私感訳註:

※送別:見送る。また、送別の宴を催す。 *郷里に女性を置いて旅立った男性。やがて月日も経って新たな春になった。お尋ねするが、旅人よ、帰るのか。(女性側の詩とすれば、男性の帰還を待ち望む詩であるが、『楚辞・招隱士』「王孫遊兮不歸春草生兮萋萋。歳暮兮不自聊,蟪蛄鳴兮啾啾。」とあり、盛唐・王維の『送別』に「山中相送罷,日暮掩柴扉。春草明年綠,王孫歸不歸。」とあり、晩唐~・温庭の『折楊柳』に「館娃宮外城西,遠映征帆近拂堤。繋得王孫歸意切不關春草綠萋萋。」とあるのに拠れば、第三者の眼から男性に対して帰郷の意志を問いかける詩と謂える)。中唐・韓愈の『遊城南十六首 晩春』に「草樹知春不久歸,百般紅紫鬥芳菲。楊花楡莢無才思,惟解漫天作雪飛。」がある。

※楊柳青青著地垂:(春になって)柳が青々として、地面にくっつく(まで)垂れて。 ・楊柳:〔やうりう;yang2liu3○●〕やなぎ。ヤナギ類の総称。「楊」はカワヤナギ、ネコヤナギ。「柳」はシダレヤナギの意。晩唐・温庭の『菩薩蠻』に「玉樓明月長相憶。柳絲娜春無力。門外萋萋。送君聞馬嘶。   畫羅金翡翠。香燭消成涙。花落子規啼。綠窗殘夢迷。」 とある。 ・青青:青々としている。漢~?の『古詩十九首之二』に「青青河畔草,鬱鬱園中柳。盈盈樓上女,皎皎當窗牖。娥娥紅粉妝,纖纖出素手。昔爲倡家女,今爲蕩子婦。蕩子行不歸,空牀難獨守。」とあり、中唐・劉長卿の『送李判官之潤州行營』に「萬里辭家事鼓鼙,金陵驛路楚雲西。江春不肯留行客,艸色靑靑送馬蹄。」とある。中唐・白居易『楊柳枝』其一「六水調家家唱」、『楊柳枝』其二「陶令門前四五樹」、『楊柳枝』其三「依依嫋嫋復
青青、『楊柳枝』其四「紅版江橋青酒旗」、『楊柳枝』其五「蘇州楊柳任君誇、『楊柳枝』其六「蘇家小女舊知名」、『楊柳枝』其八「人言柳葉似愁眉」や、劉禹錫の『楊柳枝詞』「煬帝行宮水濱,數枝楊柳不勝春。晩來風起花如雪,飛入宮牆不見人。」などがあり、初唐・郭振の『子夜四時歌六首 春歌』「陌頭楊柳,已被春風吹。妾心正斷絶,君懷那得知。」や晩唐/五代・温庭の『楊柳枝』「蘇小門前萬條金線拂平橋。黄鶯不語東風起,深閉朱門伴細腰。」五代・馮延巳の『歸自謠』「春艷艷,江上晩山三四點,柳絲如剪花如染。   香閨寂寂門半掩。愁眉斂,涙珠滴破臙脂臉。」や北宋・寇準の『江南春』「波渺渺,依依。孤村芳草遠,斜日杏花飛。江南春盡離腸斷,蘋滿汀洲人未歸。」がある。また、惜別の情を表す「柳」には盛唐・李白の『春夜洛城聞笛』に「誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。 此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。」や中唐・楊巨源の『折楊柳』の「水邊楊柳麴塵絲,立馬煩君折一枝。惟有春風最相惜,殷勤更向手中吹。」がある。 ・著:つく。ひっつく。くっつける。=着。

※楊花漫漫攪天飛:柳の白い綿毛(のある種子)いっぱいに、空を掻き乱して飛んでいる。 ・楊花:柳絮。柳の白い綿毛のある種子。春になって柳の花が咲いた後、白い綿毛のある種子が散るさま。あてどもなく風に吹かれてさすらうさま。盛唐・杜甫の『麗人行』に「三月三日天氣新,長安水邊多麗人。態濃意遠淑且真,肌理細膩骨肉勻。繍羅衣裳照暮春,蹙金孔雀銀麒麟。頭上何所有,翠爲葉垂鬢脣。背後何所見,珠壓腰衱穩稱身。就中雲幕椒房親,賜名大國虢與秦。紫駝之峰出翠釜,水精之盤行素鱗。犀箸厭飫久未下,鸞刀縷切空紛綸。黄門飛鞚不動塵,御廚絡繹送八珍。簫管哀吟感鬼神,賓從雜遝實要津。後來鞍馬何逡巡,當軒下馬入錦茵。
楊花雪落覆白蘋,靑鳥飛去銜紅巾。炙手可熱勢絶倫,慎莫近前丞相嗔。」とあり、中唐・李益の『汴河曲』に「汴水東流無限春,隋家宮闕已成塵。行人莫上長堤望,風起楊花愁殺人。」とあり、晩唐・鄭谷の『淮上與友人別』に「揚子江頭楊柳春,楊花愁殺渡江人。數聲風笛離亭晩,君向瀟湘我向秦。」とある。 ・漫漫:〔まんまん;man2man2○○〕時間や空間の限りないさま。路が長々と続いているさまであり、時間が長々と経ったことも謂う。この「漫」:〔まん;man2○〕(ひろい。水の果てしなく広いこと。みなぎる。ひろがる。みだれる。ほしいまま≒慢)は両韻で〔まん;man4●〕(ひろい。水の果てしなく広いこと。みちる≒滿)もある。後漢/魏・蔡琰(文姫)の『胡笳十八拍』の十七に「拍兮心鼻酸,關山阻修兮行路難。去時懷土兮心無緒,來時別兒兮思漫漫。塞上黄蒿兮枝枯葉干,沙場白骨兮刀痕箭瘢。風霜凜凜兮春夏寒,人馬飢豗兮筋力單。豈知重得兮入長安,歎息欲絶兮涙闌干。」や、前出・岑參の『逢入京使』「故園東望路漫漫,雙袖龍鐘涙不乾。馬上相逢無紙筆,憑君傳語報平安。」や南宋・陳與義の『牡丹』「一自胡塵入漢關, 十年伊洛路漫漫。靑墩溪畔龍鐘客,獨立東風看牡丹。」など、これらの例は平声での「漫漫」の用例(『胡笳十八拍』は韻脚のため、韻の用い方から平韻と分かり、『逢入京使』は韻脚であることと、近体詩としての平仄の配列から分かる)。また、南宋・陸游の『小園』其三「村南村北鵓鴣聲,水刺新秧漫漫。行遍天涯千萬里, 却從鄰父學春耕」とあるのは、仄韻としての用例。(前三者は平韻の押韻で当該字は韻脚であり、○○とみるべきところ。後者は「●●○○●●○」とすべき句の●●のところで使われている)。蛇足になるが、現代語では「漫」は〔まん;man4●〕のみ。 ・攪:かき混ぜる。かき乱す。混乱させる。

※柳条折尽花飛尽:(別れの際の餞(はなむけ)として)柳の枝を折る(ことも、別れが多いために)枝が尽きてしまい、(春の季節を表す)花も散って尽きてしまい(春の季節は終わろうとしている)。(=別れてから時間が経った(が))。 ・柳条:ヤナギの枝。 ・折尽:折り尽くす。「折柳」は、送別、見送りの意。漢代、長安の都を旅立つ人を見送る時、霸橋まで行き、柳の枝を折ってはなむけとした故事に基づく。前出・楊巨源の『折楊柳』に「水邊
楊柳麴塵絲,立馬煩君折一枝。惟有春風最相惜,殷勤更向手中吹。」とあり、前出・白居易の『楊柳枝』其七に「葉含濃露如啼眼,枝嫋輕風似舞腰。小樹不禁攀折苦乞君留取兩三條。」とある。 ・花…:春の季節を謂う。故郷を出てから新たな季節が回(めぐ)り来て、月日の経過を自覚する時。『楚辞・招隱士』「王孫遊兮不歸春草生兮萋萋。歳暮兮不自聊,蛄鳴兮啾啾。」とあり、盛唐・王維の『送別』に「山中相送罷,日暮掩柴扉。春草明年綠,王孫歸不歸。」とあり晩唐~・温庭の『折楊柳』に「館娃宮外城西,遠映征帆近拂堤。繋得王孫歸意切不關春草綠萋萋。」とある。

※借問行人帰不帰:お尋ねするが、旅人よ、帰るのか。 ・借問:〔しゃもん;jie4wen4●●〕少しお尋ねする(が)。劉言史の『尋花』に「遊春未足春將度,訪紫尋紅少在家。
借問流鶯與飛蝶,更知何處有幽花。」とあり、魏・曹植の『白馬篇』の「白馬飾金羈,連翩西北馳。借問誰家,幽并遊侠兒。少小去鄕,揚聲沙漠垂。宿昔秉良弓,矢何參差。」とあり、東晉・陶潛の『歸園田居』五首の其四に「久去山澤游,浪莽林野娯。試攜子姪輩,披榛歩荒墟。徘徊丘壟間,依依昔人居。井竈有遺處,桑竹殘朽株。借問採薪者,此人皆焉如。薪者向我言,死沒無復餘。一世異朝市,此語眞不虚。人生似幻化,終當歸空無。」とあり、李白の『清平調』に「一枝紅艷露凝香,雲雨巫山枉斷腸。借問漢宮得似,可憐飛燕倚新粧。」とあり、晩唐・杜牧の『淸明』に「淸明時節雨紛紛,路上行人欲斷魂。借問酒家何處,牧童遙指杏花村。」とあり、現代・毛沢東の『七律 送瘟神』其二 一九五八年七月一日に「春風楊柳萬千條,六億神州盡舜堯。紅雨隨心翻作浪,靑山着意化爲橋。天連五嶺銀鋤落,地動三河鐵臂搖。借問瘟君欲何往,紙船明燭照天燒。」とある。 ・行人:旅をしている人。出征兵士。道を行きかう人。盛唐・王昌齡の『出塞行』に「白草原頭望京師,黄河水流無盡時。秋天曠野行人,馬首東來知是誰。」とあり、前出・中唐・李益の『汴河曲』「汴水東流無限春,隋家宮闕已成塵。行人莫上長堤望,風起楊花愁殺人。」とある。 ・帰不帰:帰るだろうか。「帰」の疑問形の一の反覆疑問文形式。「帰・不帰」(「帰」か「不帰」か?=帰るのか帰らないのか?=帰るのか?)。 *なお、この反覆疑問文(肯定形と否定形を並べる形式(ex:「来不来」(来・不来)等〔A動詞+不・A動詞〕と)の疑問文形式)は現代(中国)語でも多用される。前出・盛唐・王維の『送別』に「山中相送罷,日暮掩柴扉。春草明年綠,王孫歸不歸。」とあり、前出・『楚辞・招隱士』「王孫遊兮不歸春草生兮萋萋。歳暮兮不自聊,蛄鳴兮啾啾。」とあり、前出・晩唐~・温庭の『折楊柳』に「館娃宮外城西,遠映征帆近拂堤。繋得王孫歸意切不關春草綠萋萋。」とある。詩題や詞牌に『王孫歸』『憶王孫』『王孫遊』(南齊・謝)「綠草蔓如絲,雜樹紅英發。無論君不歸,君歸芳已歇。」 として使われる。盛唐・王維の『山居秋暝』に「空山新雨後,天氣晩來秋。明月松間照,清泉石上流。竹喧歸浣女,蓮動下漁舟。隨意春芳歇,王孫可留。」とある。







◎ 構成について

韻式は「AAA」。韻脚は「垂飛歸」で、平水韻上平五微。次の平仄はこの作品のもの。近体詩の絶句形式。

○●○○●●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
●○●●○○●,
●●○○○●○。(韻)

2017.3.16
     3.17
     3.19
     3.20
     3.21完
2020.9.28補




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