このアルバム、半斤八両さんの「クルセイダーズが好きで・・・」で知ったもの。プロモーション用の非売品で、
ジャケットの左上にパンチ穴があり、在庫処分品らしい。ジャケットにパンチ穴があれば処分品ということを
初めて知りましたが、思い出したのが、小倉の米屋の若き後継者と面識を得た時のこと。この青年、面白い発想の
持ち主で、名刺交換した際、いただいた名刺の左上にパンチ穴が開いていました。どうして穴を開けたのですか
と尋ねると、青年曰く「これから絆を通すための穴ですヨ」。眼鏡をかけた眼光鋭い痩身の青年の言葉に妙に
感心したのでした。
このアルバムのジャケットデザインが良い。アルバム「The Crusaders T」のジャケット見開きの時の漆黒の
背景にクルセイダーズの面々の顔が浮き出したモノクロの写真を色調補正し、THE CRUSADERSのロゴや曲目などを
白で控えめに印字してあり、「フィルム・ノワール」的で引き締まっていて、クルセイダーズアルバムのジャケットでは上位に位置する出来栄えではないでしょうか。この引き締まったジャケットが、すでに聴く前から傑作を窺わせ、無駄のない、あえて
いえば聴く側の気持ちを弛緩させない選曲が、アルバム全体を、ジャケット同様贅肉を削いだ筋肉質にしています。
Side Oneの冒頭から三曲目まで、時間短縮で小刻みに切れ味鋭くジャブを放つような構成になっていて、クルセイダーズファン
ならずとも、弱気の虫が秒殺されるはずです。Side Twoには、通常のベスト盤にはあまり収録されそうにもない曲が、まるで
オールナイト館での上映プログラムに並ぶB級映画のたたずまいで、渡の哲兄いや健さんあたりに成りすまして柔な弱気の虫をたたっ斬るような観客気分を味わえ、スコールの後のようにさわやかに元気になれること請け合いです。ふと故青木義郎の大幹部ぶりを思い出しました。
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