生粋のインストルメンタルグループを標榜していたわがアンサング・ヒーローズのこれは歌入り
クルセイダーズ劇場。懐に忍ばせていつでもスナイパーになれるように、きっちりと11曲の銃弾が
装填してあります。
このアルバムに登場しますシンガーは、
ランディークロフォード、BBキング、ナンシー・ウイルソン、ティナ・ターナー、
ボビー・ウーマック、ビル・ウイザース、ジョー・コッカーなど、いずれも錚々たるメンバー。
クルセイダーズの多彩な交遊録が産み出した見事なボーカルアルバム。
それぞれの歌声は、いかにもクルセイダーズ的だと合点がいくほど気合、思い入れ、
叫び、感涙、恋情など血と汗と涙が滲んだ肉弾となって発せられます。そしてそれらのボーカル
は、つまりは熱情ほとばしる肉体楽器であって、
看板のインストルメンタルグループとして寸部のブレもないクルセイダーズの天晴れな
姿勢に思わず膝を叩いて納得してしまうでしょう。
いつものように揺さぶりをかけられ、いつものように奮起し、いつものように笑い飛ばしながら
「明日への道標」に前のめりに起ち上がらせてくれるパワーに満ちているのは
クルセイダーズならではの迫力。
まぁ、体で聴いてみておくんなさい、必ずや感心させられるのは、
どの曲でもJoe Sampleのクリスタルタッチが、そしてWilton Felderの男気の
テナーが、歌の間隙の、ここぞという絶妙のタイミングで入ってきて、カウンター気味にハートを直撃します。
まことに壷を得たこの侠のプレイは、業師の職人芸で、見事なくらいグルーブを醸しだしています。
全曲の内、Joe SampleとWill Jennigの曲目が8曲を占め、この阿久悠と浜圭介の八代演歌のコンビにも
似た闘魂コンビに思いを馳せながら「THE WAY IT GOES」を聴いているとホロリときました。
1はSTREET LIFE 1979
2はSTANDING TALL 1981
3はROYAL JAM 1982
4はINHERIT THE WIND
5はROYAL JAM 1982
7はRHAPSODY AND BLUES 1980
8はTHE GOOD AND BAD TIMES 1987
9はSTANDING TALL 1981
10はSECRETS
11はROYAL JAM 1982
☆☆☆☆
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