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実はこのベスト盤の存在を知ったのは、スイングジャーナルが1971年に創刊25周年を記念して刊行した「世界ジャズ
人名辞典」の折込広告で、この東芝音楽工業ブルーノートの「CLOSE-UP」シリーズの三つ折広告に掲載されて
いた「THE BEST OF THE JAZZ CRUSADERS」を、最近見開いて知ったというわけ。
たまたま半斤八両さんお勧めのプロモーション版「THE CRUSADERS」(非売品)をヤフオクで見つけ入札する際、
並んで出品されていたこのベスト盤も同時に入札し、どちらも格安の600円で落札できました。それに両方同じ
出品者だったので同梱で送られてきました。
このベスト盤、ビートルズの「ELENOR RIGBY」で幕を開けます。おそらくStix Hooperでしょうか、演奏の合間に
気合のこもった合いの手が入る白熱のライブシーンが、このベスト盤を貫くポップでファンキーな心躍る
空気感を如実に物語っています。2曲目の軽快な「THE THING」に引き続き、女体を舐めまわさんばかりの
粘着的なテナーサックスを「OOGA-BOO-GA-LOO」でご披露するのがWilton Felder。かくてこのレコードの
A面は6曲目のバートバカラックの「
PROMISES,PROMOSES」まで一気呵成に進んでいきます。
さてB面は、思わずのけぞるほどのエネルギッシュなユニゾンのロングトーンで始まる「IT'S YOUR THING」が、殊のほか格好良い。「こんな曲あったっけ」と記憶を辿る自分を恥じ入るほどパンチの効いた曲。ビートルズのポップな「HEY JUDE」をこの曲順に置いて新鮮さを醸すところなんざ、思わず握手したくなるほど。「FREEDOM SOUND」は、演奏の早いこと早いこと。この俊足感は、刹那的な青春の瑞々しさに直結します。そしてラストは、Wayne Hendersonの「YOUNG RABBITS」。電光石火の若気の至り。
この一枚のベスト盤には、これから斬り込んでいく十字軍の爆発寸前の闘魂が、つかのま火薬庫のように佇んでいる様が盗聴できるようです。蛇足ですが、ジャケットの折り目正しいイラストから、クルセイダーズ魂が陽炎のように立ち昇って見えるのが不思議です。
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