さてさて、今回の映像は、1984年、東京簡易保険会館にて開催された「LIVE IN TOKYO」。
「SNOWFLAKE」で幕を開け、舞台に居並ぶクルセイダーズの面々は曲名そのままに白装束のいでたち。背後には読売日本交響楽団が控えてのジョイントコンサート。
まずシルバー・サックスを携え堂々とした吹きっぷりを開陳しますのはご存知WILTON FELDER、マァなんと足の長いことよ。惚れ惚れするようなスタイルの良さ。
でっぷりした体格のLEON CHANCLERが躍動的にリズムを刻み、顎にヒゲを蓄えたDAVID.T.WALKERがひょうひょうとしてギターを奏で、若いベーシストのBYRON MILLERが必死に喰らいついていく。そしてこの場の雰囲気を触覚を張り巡らして逐一感知しているように見えるのがほかならぬJOE SAMPLEであります。
「VOICES IN THE RAIN」に入ると、ステージの照明は溶暗、WILTON FELDERはベースに代わり、JOE SAMPLEにスポットライトが当たります。
カメラの補虫網を鍵盤を跳ねる指に近づけると、まるで蝶々が舞うのを目の当たりにするよう。袖口に垣間見られるシルバーの刺繍は、さながら繊細な羽模様を思わせます。ひときわ集中度を高めるJOE SAMPLE、白いワイシャツの背中にサウンド・タトーが踊ります。
「MELODIES OF LOVE」になるとカメラはただSAMPLEを凝視。額に汗を浮かべ、長いイントロを終えると、例のお馴染みのリリカルなフレーズがオーケストラの奏でるストリングスとともに燃え上がる感動のつづれ織。JOE SAMPLEは燃え上がる命の撚糸で真珠色のサウンドを見事なまでに織り上げます。
「CONVERSATION」は、ハープを弾く女性のしなやかな指の描写で始まります。白のジャケットを羽織り、一人舞台中央に立ち、WILTON FELDERがソプラノサックスでテキサス魂を浪々と歌い上げます。見えるでしょうあのテキサスの大高原が。聞こえるでしょう、男たちの雄叫びが、砂塵を上げて走る馬の蹄の音が。
画面変わって、女性ボーカルVESTA WILIAMSが登場。「STREET LIFE」が始まると雰囲気は一変。
WILTON FELDERはテナーに変わり、サックスの音色もガラリと変化、いきなりネオン瞬く夜のムードへとなだれこんでいきます。FELDERの表情もグッと和み、一種エロティックな様相を呈します。
VESTA WILIAMSが、これまたダイナミックで、ブルーの衣装は胸元ハダケ、シャウトする度に巨乳がゆさゆさと大揺れ。前半の繊細で男性的な世界とは大違い。VESTA WILAMSには、宇宙を包み込むアモラルで強力な母性のパワーを感じますネ。途中ウインクをまじえ、聴くものを巻き込むような熱唱で、WILTON FELDERと会話を交わしたりJOUSAMPLEとの交歓も楽しんだりと、会場も大いにリラックス、観客は手拍子でさらに演奏を盛り上げます。
さて、演奏を終了、一同舞台に勢ぞろいして退場すると場内はアンコールの合唱の渦。アンコール曲は「We all have a star」。
恍惚に打ち震えるようなVESTA WILIAMSのシャウト。ファンキーおじさんDAVID.T.WALKERも途中わずかなソロをご披露するのですが、口を半ば開き、フレーズを唱える仕草、何ともいえぬ微笑を湛えた表情が見ているものを和ませるものがあってホントにファンキーそのものですヨ。
かくしてアンコール曲も終わり、メンバーそれぞれが花束を手に、和風しきたりよろしくお辞儀をし、去っていく姿が何ともほほえましい。 少年少女のように手をつなぎ、幾分はにかみながら去っていくJOE SAMPLEとVESTA WILIAMSの姿がまことに初々しく爽やかで、思わず「胸キュン」となるほどに感動的でありました。
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