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蜀道難 | |
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唐・李白 |
噫吁嚱危乎高哉,
蜀道之難難於上青天。
蠶叢及魚鳧,
開國何茫然。
爾來四萬八千歳,
不與秦塞通人煙。
西當太白有鳥道,
可以橫絶峨眉巓。
地崩山摧壯士死,
然後天梯石棧相鉤連。
上有六龍回日之高標,
下有衝波逆折之回川。
黄鶴之飛尚不得過,
猿猱欲度愁攀援。
青泥何盤盤,
百歩九折縈巖巒。
捫參歴井仰脅息,
以手撫膺坐長歎。
問君西遊何時還,
畏途巉巖不可攀。
但見悲鳥號古木,
雄飛雌從繞林間。
又聞子規啼夜月,
愁空山。
蜀道之難難於上青天,
使人聽此凋朱顏。
連峰去天不盈尺,
枯松倒挂倚絶壁,
飛湍瀑流爭喧豗,
砯崖轉石萬壑雷。
其險也如此,
嗟爾遠道之人胡爲乎來哉。
劍閣崢嶸而崔嵬,
一夫當關。
萬夫莫開,
所守或匪親。
化爲狼與豺,
朝避猛虎,
夕避長蛇。
磨牙吮血,
殺人如麻,
錦城雖云樂。
不如早還家,
蜀道之難難於上青天,
側身西望長咨嗟。
******
蜀道 難
噫吁嚱 危 き乎 高き哉 ,
蜀道 の難 きは青天 に上 るよりも難 し。
蠶叢 及び魚鳧 と,
開國 何ぞ茫然 たる。
爾來 四萬八千 歳 ,
秦塞 と 人煙を通ぜず。
西のかた太白 に當 たりて鳥道 有り,
以 て峨眉 の巓 を橫絶 す可 し。
地崩 れ 山摧 けて壯士 死し,
然 る後 天梯 石棧 相 ひ鉤連 す。
上には六龍 回日 の高標 有り,
下には衝波 逆折 の回川 有り。
黄鶴 の飛 尚 ほ過ぐるを得ず,
猿猱 度 らんと欲して攀援 愁 ふ。
青泥 何ぞ盤盤 たる,
百歩 九折 巖巒 を縈 る。
參 を捫 で井 を歴 て仰 ぎて脅息 し,
手を以 て膺 を撫 し坐 して長歎 す。
君に問ふ:西遊 して何 れの時にか還 ると,
畏途 巉巖 攀 づ可 からず。
但 だ見る悲鳥 の古木 に號 び,
雄 は飛び雌 は從 ひて 林間を繞 るを。
又 た聞く子規 夜月 に啼 き,
空山 に愁 ふるを。
蜀道 の難 きは青天 に上 るよりも難 く,
人をして此 を聽きて朱顏 を凋 ましむ。
連峰 天を去 るること 尺に盈 たずして,
枯松 倒 しまに挂 りて 絶壁に倚 り,
飛湍 瀑流 爭ひて喧豗 たり,
崖を砯 ち 石を轉 して萬壑 雷 く。
其の險なるや此 の如し,
嗟 爾 遠道 の人胡爲 れぞ來 れる哉 。
劍閣 崢嶸 として崔嵬 ,
一夫 關 に當 たれば。
萬夫 も 開く莫 し,
守る所或 は親 に匪 ざれば,
化 して狼 と豺 とに爲らん,
朝 に猛虎 を避け,
夕 に長蛇 を避く。
牙 を磨 き 血を吮 り,
人を殺すこと麻 の如し,
錦城 樂 しと云 ふと雖 も,
早く家に還 るに如 かず,
蜀道 の難 きは青天 に上 るよりも難 く,
身を側 めて西望 し長 へに咨嗟 す。
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◎ 私感註釈
※李白:(701~762年)盛唐の詩人。字は太白。自ら青蓮居士と号する。世に詩仙と称される。西域・隴西の成紀の人で、四川で育つ。若くして諸国を漫遊し、後に出仕して、翰林供奉となるが高力士の讒言に遭い、退けられる。安史の乱では辛酸をなめた。後、永王が謀亂に際し、幕僚となったため、夜郎にながされたが、やがて赦された。
※蜀道難:四川省の道路の極めて危険なこと。楽府題で相和歌・瑟調曲。 *これは、李白が友人が蜀に入るのを送った送別詩。また、玄宗皇帝の西幸をいましめたものという。 ・蜀道:四川省の(危険な)道。
※噫吁嚱危乎高哉:あああ、高いなあ、高いなあ。 *「噫吁嚱危乎高哉」の句は、同義反復でリズムをとりながら強調するように構成されている: 〔驚きを表す感嘆詞〕:「噫・吁・嚱+危乎・高哉」、また、〔形容詞「たかい」〕:「噫吁嚱+危乎・高哉」、また、〔感嘆の助詞〕:「噫吁嚱+危乎・高哉」。それらを組み合わせて「噫吁嚱+危乎・高哉」とした。 ・噫吁嚱:〔いくき;yi1xu1xi1(hu1)◎○?〕ああ。驚嘆の声。驚きや慨嘆を表す感嘆詞。蜀の方言という。 ・危:高い。あやうい。(「高い」の意の用例に:「危樓」(高い建物)北宋・柳永の『蝶戀花』に「佇倚危樓風細細,望極春愁,黯黯生天際。草色煙光殘照裏,無言誰會憑欄意。擬把疏狂圖一醉,對酒當歌,強樂還無味。衣帶漸寬終不悔,爲伊消得人憔悴。」他)等がある。 ・乎…哉:…だわい。…かな。慨嘆や賛嘆を表す。形容詞の後に附いて、強調する。
※蜀道之難難於上青天:蜀(=四川)の道の困難さは、青空に上(のぼ)るのよりも難しい。 ・難於-:…よりも難しい。〔形容詞+於〕で、比較表現。…よりも。「A(形容詞)於B(名詞)」BよりもAい。(←「-い」は、日本語の形容詞の活用語尾としてのもの)。晩唐・杜牧の『山行』に「遠上寒山石徑斜,白雲生處有人家。停車坐愛楓林晩,霜葉紅於二月花。」とあり、中唐・白居易の『讀道德經』に「玄元皇帝著遺文,烏角先生仰後塵。金玉滿堂非己物,子孫委蛻是他人。世間盡不關吾事,天下無親於我身。只有一身宜愛護,少敎冰炭逼心神。」
とあり、同・白居易の『楊柳枝詞』に「一樹春風千萬枝,嫩於金色軟於絲。永豐西角荒園裏,盡日無人屬阿誰。」
とあり、唐・蜀 韋莊の『菩薩蠻』に「人人盡説江南好,遊人只合江南老。春水碧於天,畫船聽雨眠。 爐邊人似月,皓腕凝雙雪。未老莫還鄕,還鄕須斷腸。」
とある「於」に同じ
。 ・上:のぼる。 ・青天:青空。
※蚕叢及魚鳧:(古代蜀の国王の)蚕叢(さんそう)や魚鳧(ぎょふ)が。 ・蚕叢:〔さんそう;Can2cong1○○〕人名。古代蜀の国王で、養蚕を発明した人物。 ・魚鳧:〔ぎょふ;Yu2fu2○○〕人名。古代蜀の国王で、鵜飼を始めた人物。
※開国何茫然:(蜀の)国をはじめてから、何と果てしなくぼんやりとしていることか。 ・何:何(なん)と。感嘆を表す。 ・茫然:〔ばうぜん;mang2ran2◎○〕ぼんやりしているさま。北宋・蘇軾の『前赤壁賦』に「壬戌之秋,七月既望,蘇子與客泛舟遊於赤壁之下。清風徐來,水波不興。擧酒屬客,誦『明月』之詩,歌『窈窕』之章。少焉,月出於東山之上,徘徊於斗牛之間。白露橫江,水光接天。縱一葦之所如,凌萬頃之茫然。浩浩乎如馮虚御風,而不知其所止;飄飄乎如遺世獨立,羽化而登仙。於是飮酒樂甚,扣舷而歌之。歌曰:「桂櫂兮蘭槳,撃空明兮泝流光。渺渺兮予懷,望美人兮天一方。」客有吹洞簫者,倚歌而和之。其聲鳴鳴然,如怨如慕,如泣如訴;餘音嫋嫋,不絶如縷,舞幽壑之潛蛟,泣孤舟之嫠婦。蘇子愀然,正襟危坐而問客曰:「何爲其然也?」客曰:「『月明星稀,烏鵲南飛,』此非曹孟德之詩乎?西望夏口,東望武昌,山川相繆,鬱乎蒼蒼,此非孟德之困於周郞者乎?方其破荊州,下江陵,順流而東也,舳艫千里,旌旗蔽空,釃酒臨江,橫槊賦詩,固一世之雄也,而今安在哉?況吾與子漁樵於江渚之上,侶魚蝦而友麋鹿,駕一葉之輕舟,擧匏樽以相属;寄蜉蝣於天地,渺滄海之一粟。哀吾生之須臾,羨長江之無窮。挾飛仙以遨遊,抱明月而長終。知不可乎驟得,託遺響於悲風。」蘇子曰:「客亦知夫水與月乎?逝者如斯,而未嘗往也;盈虚者如彼,而卒莫消長也。蓋將自其變者而觀之,則天地曾不能以一瞬;自其不變者而觀之,則物與我皆無盡也。而又何羨乎!且夫天地之間,物各有主,苟非吾之所有,雖一毫而莫取。惟江上之淸風與山間之明月,耳得之而爲聲,目遇之而成色。取之無禁,用之不竭,是造物者之無盡藏也,而吾與子之所共適。」客喜而笑,洗盞更酌。肴核既盡,杯盤狼藉。相與枕藉乎舟中,不知東方之既白。」とあり、北宋・王安石の『重將』に「重將白髮傍牆陰,陳迹茫然不可尋。花鳥總知春爛熳,人間獨自有傷心。」
とある。
※爾来四万八千歳:その(肇国)以来、四万八千年たった。 ・爾来:それ以来。今まで。これまで。 ・四万八千歳:厖大な時間(の経過)を謂う。蜀の国の開国以来の年数。漢語では「四万八千歳」という場合、名詞としての「四万八千年」の意とともに、動詞(?)のように「四万八千年たつ/四万八千年になる」の意もある。
※不与秦塞通人煙:(蜀の地方は、)(作者のいる長安等の)秦の地方と、人々の往来がない。 ・与:(接続詞の)…と。なお、後出・「狼与豺」の「与」の用法も、接続詞で「…と」の意。これら(=介詞の「与」と接続詞の「与」)はどちらも日本語で「と」と読み下すことが多いが、異なったもの。介詞の「与」は、【与+名詞+動詞】となり、接続詞の「与」は、【名詞+与+名詞】という形をとる。介詞の「与」は、英語のwithの意の「と」であり、接続詞の「与」は英語のandの意の「と」とも謂えよう。この句「不与秦塞通人煙」では、「〔蜀地〕不与秦塞通人煙」の意で、句の頭の「蜀地」が省略されているもの。 ・秦塞:〔Qin2sai4○●〕秦の地方(=現・陝西省)の辺境地帯。なお、作者・李白のいる長安の都のあるところは秦の地。 ・通人煙:人々が往来する意。
※西当太白有鳥道:(作者のいる長安の)西の方の太白山には、鳥しか通わないような険しい山道があり。 ・西当:西側に当たる。西側の。西に向いて。 ・当:当たる。(…に)向いて。また、遮る。立ち塞がる。=擋(?)。 ・太白:太白山のこと。太乙山ともいう。長安の西南西120キロメートルのところ(現・陝西省眉県の南、太白県一帯)。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)40-41ページ「京畿道 関内道」にある。 ・鳥道:鳥しか通わないような険しい山道。=鳥路、鳥径。
※可以横絶峨眉巓:(その鳥道を辿(たど)れば、)峨眉山の頂(いただき)を飛び越えることができる。 ・可以:…できる。…(ら)れる。もって…べし。 ・横絶:よこぎる。山や川や海を横切り渡る。 ・峨眉:〔がび;E2mei2○○〕現・四川省の四川盆地西南端にある名山の一の峨眉山。=峨嵋山。その最高峰は標高3099メートルの万仏頂。中唐・白居易の『長恨歌』に「漢皇重色思傾國,御宇多年求不得。楊家有女初長成,養在深閨人未識。……翠華搖搖行復止,西出都門百餘里。六軍不發無奈何,宛轉蛾眉馬前死。花鈿委地無人收,翠翹金雀玉掻頭。君王掩面救不得,回看血涙相和流。黄埃散漫風蕭索,雲棧縈紆登劍閣。峨嵋山下少人行,旌旗無光日色薄。蜀江水碧蜀山靑,聖主朝朝暮暮情。行宮見月傷心色,夜雨聞鈴腸斷聲。……天長地久有時盡,此恨綿綿無絶期。」とある。 ・巓:いただき。万仏頂のことになり、峨眉山の最高峰で標高3099メートル。
※地崩山摧壮士死:地が崩(くず)れ、山が砕けて、壮士が死んだが。 ・地崩山摧:地が崩(くず)れ山が砕けようと。大地の崩れるさま。 ・壮士死:この句は『華陽國志』の『蜀志』に基づく。伝えられるところでは、秦の恵王が蜀の国を征服しようと思い、蜀王が色を好むのを知り、五人の美女を送った。蜀王は、五人の壮士を派遣して迎えた。その後梓潼(現・四川省剣閣の南の梓潼県)にかかった時、一匹の大蛇が穴の中に入りかけていた。一人の壮士が尻尾を掴んで、その他の四人が助けて力いっぱい引っ張った。すると、山が崩(くず)れて地が裂けて、壮士と美女は、すべて圧死してしまった。そして、山が分かれて五つの嶺となり、蜀への路が遂に開けたという。(『華陽國志・蜀志』の原典未確認)。
※然後天梯石桟相鈎連:(その結果、)その後に、切り立った険しい山道に、石で造った棚のように張り出した架け橋がつづき連なった(=道が拓けた)。 ・然後:その後。しかるのち。 ・天梯石桟:〔てんていせきさん;tian1ti1shi2zhan4○○●●〕切り立った険しい崖沿いの山道に、石(や木材)で棚のように張り出して設けた道。架け橋。 ・鈎連:〔こうれん;gou1lian2○○〕つづき連なる。
※上有六龍回日之高標:上の方には、(太陽神というべき羲和が太陽を載せた)六匹の龍が挽(ひ)く車でも太陽を(載せて)迂回する高峰があり。/上の方には、六頭立ての龍車に乗って運行する太陽でさえも道を譲らなければ高い山の峰があり。 ・六龍回日:(羲和(=人物名)の馭する)六龍の太陽(が乗った車)を迂回させる。六頭立ての龍車に乗って運行する太陽。(『淮南子』『山海經』に典拠があるようなので、これらをざっと見ているが、まだ、見つからない…)。 ・回:遠回りする。迂回する。避ける。 ・高標:蜀山の嶺の中の標識となるべき最高峰。
※下有衝波逆折之回川:下の方には、激しい真っ直ぐな流れの波に、逆方向に折れ曲がって流れる渦巻く川がある。 *川の流れの色々なさまを描写する。 ・衝波:激しい真っ直ぐな流れの波。 ・逆折:逆方向に折れ曲がって(の流れ)。 ・回川:渦巻く川。
※黄鶴之飛尚不得過:(その高山は)(大空を善く飛ぶ大鳥の)黄色の鶴(黄鵠)の飛翔力でも、なおまだ通り過ぎることができない。 ・黄鶴:黄鵠のことで、大空を善く飛ぶ大鳥。黄色の鶴。仙鶴。盛唐・崔顥の『黄鶴樓』に「昔人已乘白雲去,此地空餘黄鶴樓。黄鶴一去不復返,白雲千載空悠悠。晴川歴歴漢陽樹,芳草萋萋鸚鵡洲。日暮鄕關何處是,煙波江上使人愁。」とある。 ・尚:なおまだ。なお。 ・不得:…できない。 ・過:通り過ぎる。
※猿猱欲度愁攀援:(この高山を)(蜀の地にいる攀(よじのぼ)ることが得意な)サルの類がわたろうとしても、攀(よじのぼ)ることに思い悩む(ほどである)。 ・猿猱:〔ゑんだう;yuan2nao2○○〕サルやテナガザル。(蜀の地にいる)サルの類を謂う。 ・欲:…たいと思う。…しようとする。ほっす。 ・度:わたる。 ・愁:思い悩む。うれうる。 ・攀援:〔はんゑん;pan1yuan2○○〕よじのぼる。物につかまって登る。=攀縁。また、引き留める。引き戻す。引っ張り上げる。
※青泥何盤盤:青泥嶺(の山道は、)何とぐるぐると回ることなのか。 ・青泥:陝西省略陽県の西北にあった山の名・青泥嶺。また、その上にあった宿場の名。 ・盤盤:ぐるぐる回りをする。
※百歩九折縈巌巒:(青泥嶺の山道は、)百歩(ひゃっぽ)歩(あゆ)む中(うち)に九回折れ曲がって険しい岩山を繞(めぐ)っている。 ・百歩九折:百歩(ひゃっぽ)歩(あゆ)む中(うち)に九回折れ曲がる。清・丘逢甲の『韓江有感兒』に「道是南風竟北風,敢將蹭蹬怨天公。男兒要展回天策,都在千盤百折中。」とある。 ・縈:〔えい;ying2○〕めぐる。めぐらす。まとう。からみつく。まつわる。 ・巌巒:〔がんらん;yan2luan2○○〕けわしい山。険しい岩山。
※捫参歴井仰脅息:(道は高く、天上の星の)参宿(しんしゅく)を撫でて、井宿(せいしゅく)を経て、見上げては息をひそめ。 ・捫:〔もん;men2○〕なでる。さする。取る。持つ。手のひらを置く。さぐり撫でる ・歴:経過する。経験する。へる。 ・参、井:ともに、星座の名。 「参」:参(しん;shen1○)宿七星は、オリオン座で蜀の国。蛇足になるが、「参」は多音字で、「まいる」意は〔さん;can1○〕、「星座の名」「人参の『参』」の意は〔しん;shen1○〕、「参差の『参』、不揃い」の意は〔しん;cen1○〕。 「井」:井宿八星は、双子座で秦の国。星宿には地上の州国が割り当てられており(参星は蜀が、井星は秦が)割り当てられて、星宿を観察して占うことにより、地上の州国の吉凶をはかった。参星は蜀が割り当てられ、井星は秦が割り当てられている。 ・脅息:〔けふそく;xie2xi1●●〕息をひそめる。非常におそれる。
※以手撫膺坐長歎:手で胸を撫(な)でて、何とはなしに長く歎息する。 ・以手:手で、の意。 ・撫:なでる。 ・膺:〔よう;ying1◎〕胸。 ・坐:そぞろに。何とはなしに。また、いながら(にして)。みすみす。何もせずに。じっとして。
※問君西遊何時還:あなたにお尋ねするが、(今回の)西の方(=蜀)への旅は、何時(いつ)になったら戻ってくるのだろうか。 ・問君:あなたに尋ねる。「君」とは、ここでは、先に蜀に入った友人。この送別詩を送った相手。 ・西遊:西の方を旅する。ここでは蜀に入って旅することを謂う。 ・還:もどる。かえる。
※畏途巉巌不可攀:険しくておそろしい道(のある)険しく高い岩山には、よじのぼることができない。 ・畏途:〔ゐとwei4tu2●○〕険しくておそろしい道。=畏塗。 ・巉巌:〔ざんがん;chan2yan2○○〕岩山が険しく高いさま。高く聳え立ち、草木の生えていない岩山。 ・不可:…ことができない。…べからず。 ・攀:よじのぼる。
※但見悲鳥号古木:ただ、悲しげな泣き声の鳥が、老木で大声で鳴いており。 ・但見:ただ…だけが見える。『古詩十九首』之十四に「去者日以疎,來者日以親。出郭門直視,但見丘與墳。古墓犁爲田,松柏摧爲薪。白楊多悲風,蕭蕭愁殺人。思還故里閭,欲歸道無因。」とあり、初唐・張若虚の『春江花月夜』に「春江潮水連海平,海上明月共潮生。灩灩隨波千萬里,何處春江無月明。江流宛轉遶芳甸,月照花林皆似霰。空裏流霜不覺飛,汀上白沙看不見。江天一色無纖塵,皎皎空中孤月輪。江畔何人初見月,江月何年初照人。人生代代無窮已,江月年年祗相似。不知江月待何人,但見長江送流水。白雲一片去悠悠,青楓浦上不勝愁。誰家今夜扁舟子,何處相思明月樓。可憐樓上月裴回,應照離人妝鏡臺。玉戸簾中卷不去,擣衣砧上拂還來。此時相望不相聞,願逐月華流照君。鴻雁長飛光不度,魚龍潛躍水成文。昨夜閒潭夢落花,可憐春半不還家。江水流春去欲盡,江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧,碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸,落月搖情滿江樹。」
とあり、盛唐・李白の『把酒問月』故人賈淳令余問之「靑天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人相隨。皎如飛鏡臨丹闕,綠煙滅盡淸輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲閒沒。白兔搗藥秋復春,姮娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」
とあり、後世、中唐・白居易の『送春』に「三月三十日,春歸日復暮。惆悵問春風,明朝應不住。送春曲江上,拳拳東西顧。但見撲水花,紛紛不知數。人生似行客,兩足無停歩。日日進前程,前程幾多路。兵刃與水火,盡可違之去。唯有老到來,人間無避處。感時良爲已,獨倚池南樹。今日送春心,心如別親故。」
とあり、清末清初・呉偉業の『菫山兒』に「菫山兒,兒生不識亂與離。父言急去牽兒衣,母言乞火爲兒炊作糜。父母忽不見,但見長風白浪高崔嵬。将軍下一令,軍中那得聞兒啼。樓船何高高,沙岸多崩摧。榜人不能移,擧手推墮之。上有蒲與雈,下有濘與泥。十歩九倒迷東西,身無袴襦。足穿蒺藜,叩頭指口惟言饑。將船送兒去,問以鄕里記憶還依稀。父兮母兮哭相認,聲音雖是形骸非。傍有一老翁,羨兒獨來歸。不知我兒何處餵游魚,或經略賣遭鞭笞。垂頭涕下何纍纍,吾欲竟此曲。此曲哀且悲,茫茫海内風塵飛。一身不自保,生兒欲何爲。君不見菫山兒。」
とある。 ・号:さけぶ。(人や動物が)大声でさけびよばわる。
※雄飛雌従繞林間:雄(おす)は飛んで、雌(めす)は(それに)従(したが)う。て、林の中をぐるぐるまわっているだけだ。 ・雄飛雌従:雄(おす)は飛んで、雌(めす)は(それに)従(したが)う。≒夫倡(/唱)婦随。 ・繞:〔ぜう;rao4●〕めぐる。ぐるぐるまわる。巻きつく。まとう。まつわる。絡まる。
※又聞子規啼夜月:重ねてまた、ホトトギスが夜の月に鳴いていて。 ・聞:きこえる。きこえてくる。耳に入ってくる。 *蛇足になるが、(意識的に聴き耳を立てて)きくことは:聴。 ・子規:ホトトギス。哀しげな啼き声(=「不如帰去」=「帰った方がいいよ」の意)がする鳥とされ、夏の季節を表す鳥である。また、蜀王の霊の化した鳥で、蜀の人は蜀の王を思うという。幽冥界との往復をする鳥でもある。盛唐・李白の『聞王昌齡左遷龍標遙有此寄』に「楊花落盡子規啼,聞道龍標過五溪。我寄愁心與明月,隨風直到夜郎西。」とあり、同・李白の『宣城見杜鵑花』に「蜀國曾聞子規鳥,宣城還見杜鵑花。一叫一廻腸一斷,三春三月憶三巴。」
とあり、中唐・武元衡の『望夫石』に「佳人望夫處,苔蘚封孤石。萬里水連天,巴山暮雲碧。湘妃涙竹下成林,子規夜啼江水深。」
とあり、清末・秋瑾の『昭君怨』に「恨煞回天無力,只學子規啼血。愁恨感千端,拍危欄。 枉把欄干拍遍,難訴一腔幽怨。殘雨一聲聲,不堪聽!」
とある。 ・啼:(動物が)鳴く。
※愁空山:人気のない寂しい山を愁えている(のが聞こえるだけだ)。 ・空山:人気のない寂しい山。秋、冬季の落葉後の寂しげな山。盛唐・王維の『鹿柴』に「空山不見人,但聞人語響。返景入深林,復照青苔上。」とあり、盛唐・皇甫冉の『山中五詠 山館』に「山館長寂寂,閒雲朝夕來。空庭復何有,落日照靑苔。」
詩で詠う「空庭」
とあり、劉長卿の『見秦系離婚後出山居作』に「豈知偕老重,垂老絶良姻。
氏誠難負,朱家自愧貧。綻衣留欲故,織錦罷經春。何況
蕪綠,空山不見人。」とある。
※蜀道之難難於上青天:蜀(=四川)の道の困難さは、青空に上(のぼ)るのよりも難しい。
※使人聴此凋朱顔:人にこの言葉(=「蜀の道の困難さは、青空に上るのよりも難しい」)を聞かせれば、若々しくて血色の良い顔も、しぼんでしまう。 ・使(人)-:(人に)…させる。使役表現。 ・此:これ。前の「蜀道之難難於上青天」を指す。 ・凋-:〔てう;diao1○〕しぼませる。なえさせる。衰えさせる。 ・朱顔:少年の顔。(血色の良い)赤い顔。また、酒に酔った顔。美人の顔。赤ら顔。ここは、前者の意。
※連峰去天不盈尺:連なる峰々は、天から離れること一尺(=30センチメートル)に満たない。 ・去天:天から離れること。 ・盈:〔えい;ying2○〕満ちる。 ・去天不盈尺:天から離れること一尺に満たない。(天から30センチメートルと離れていない)。現代・毛沢東の『十六字令 山』其一 一九三四年到三五年に「山,快馬加鞭未下鞍。驚回首,離天三尺三。」とある。
※枯松倒挂倚絶壁:枯れた松が、逆さまに絶壁に掛かっており。 ・倒挂:逆さまに掛かる。 ・倚:よりかかる。寄る。
※飛湍瀑流争喧豗:水が勢いよく流れる瀬に、滝がやかましく。 ・飛湍:〔ひたん;fei1tuan1○○〕水の勢いよく流れる瀬。はやせ。 ・瀑流:〔ばくりう;pu4liu2●○〕たき。 ・喧豗:〔けんくゎい;xuan1hui1○○〕やかましい。さわがしい。かまびすしい。
※砯崖転石万壑雷:崖に水が撃つ音に、石を転がして、多くの谷に轟(とどろ)いている。 ・砯〔ping1〕水が岩を撃つ(音)。 ・転石:〔zhuan4shi2〕(…を)ころがす。「転」:動詞。 ・万壑:〔ばんがく;wan4huo4●●〕多くの谷間。盛唐・杜甫の『詠懷古跡』に「羣山萬壑赴荊門,生長明妃尚有邨。一去紫臺連朔漠,獨留青冢向黄昏。畫圖省識春風面,環珮空歸月夜魂。千載琵琶作胡語,分明怨恨曲中論。」とある。 ・雷:とどろく。さわぐ。石を転がす。太鼓を打つ。激しい音。
※其険也如此:その険しさといったら、かくばかりである。 ・其…也-:その…といったら、の意。「その…となりや」。「其為人也」(その人となりや)。 ・険:けわしい。 ・如此:かくのとおりである。かくばかりである。
※嗟爾遠道之人胡為乎来哉:ああ、なんじは、はるばると遠路を、どうして(ここ=蜀に)来たのか。 ・嗟:〔さ(しゃ);jue1(jie1)○〕ああ。感嘆や歎きの声。 ・爾:おまえ。なんぢ。 ・遠道:遠路。はるか遠い道。はるばる。 ・胡為:なぜ。どうして。何ゆえ。なんすれぞ。=何為。 ・来:きたる。ここでは蜀に入ることを謂う。
※剣閣崢嶸而崔嵬:剣閣は高く聳えて、険しく。 ・剣閣:剣門関のことで、山の名。現・剣閣。陝西省の長安から四川の成都へ到る街道の、四川側の関山。四川省東北の剣閣県の東北にある。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)65-66ページ「唐 剣南道北部」の剣州にあり、『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)69-70ページ「南宋 成都府路 潼川府路 夔州(Kui2zhou1)路 利州東路 利州西路」にある。現在の剣閣の30キロメートル北東部。杜甫の『哀江頭』「少陵野老呑聲哭,春日潛行曲江曲。江頭宮殿鎖千門,細柳新蒲爲誰綠。憶昔霓旌下南苑,苑中萬物生顏色。昭陽殿裏第一人,同輦隨君侍君側。輦前才人帶弓箭,白馬嚼齧黄金勒。翻身向天仰射雲,一笑正墜雙飛翼。明眸皓齒今何在,血汚遊魂歸不得。清渭東流劍閣深,去住彼此無消息。人生有情涙霑臆,江草江花豈終極。黄昏胡騎塵滿城,欲往城南望城北。」や、白居易の『長恨歌』で「黄埃散漫風蕭索,雲棧
紆登劍閣。峨嵋山下少人行,旌旗無光日色薄。」
と詠われているところ。南宋・陸游の『劍門道中遇微雨』に「衣上征塵雜酒痕,遠游無處不消魂。此身合是詩人未?細雨騎驢入劍門。」
とある。
・崢嶸:〔さうくゎう;zheng1rong2○○〕高く聳えるさま。高く険しいさま。 ・而:…して。しかうして(しこうして)。しかして。盛唐・岑參の『與高適薛據同登慈恩寺浮圖』に「 塔勢如湧出,孤高聳天宮。登臨出世界,磴道盤虚空。突兀壓神州,崢嶸如鬼工。四角礙白日,七層摩蒼穹。下窺指高鳥,俯聽聞驚風。連山若波濤,奔走似朝東。靑松夾馳道,宮觀何玲瓏。秋色從西來,蒼然滿關中。五陵北原上,萬古靑濛濛。淨理了可悟,勝因夙所宗。誓將挂冠去,覺道資無窮。」
大きな地図で見る地図の中心が剣門 とあり、南宋・陸游の『秋風亭拜寇莱公遺像』に「豪傑何心居世名,材高遇事即崢嶸。巴東詩句澶州策,信手拈來盡可驚。」
とあり、現代・毛澤東の『沁園春 長沙』一九二五年に「獨立寒秋,湘江北去,橘子洲頭。看萬山紅遍,層林盡染;漫江碧透,百舸爭流。鷹撃長空,魚翔淺底,萬類霜天競自由。悵寥廓,問蒼茫大地,誰主沈浮? 携來百侶曾游。憶往昔、崢嶸歳月稠。恰同學少年,風華正茂;書生意氣,揮斥方遒。指點江山,激揚文字,糞土當年萬戸侯。曾記否,到中流撃水,浪遏飛舟?」
とある。 ・崔嵬:〔さいくゎい;cui1wei2○◎〕山や建物の高大なさま。凹凸が激しいさま。また、石や岩のごろごろして嶮しい山。漢・梁鴻の『五噫歌』に「陟彼北芒兮,噫!顧瞻帝京兮,噫!宮闕崔巍兮,噫!民之劬勞兮,噫!遼遼未央兮,噫!」
とあり、前出・清末清初・呉偉業の『菫山兒』に「菫山兒,兒生不識亂與離。父言急去牽兒衣,母言乞火爲兒炊作糜。父母忽不見,但見長風白浪高崔嵬。将軍下一令,軍中那得聞兒啼。樓船何高高,沙岸多崩摧。榜人不能移,擧手推墮之。上有蒲與雈,下有濘與泥。十歩九倒迷東西,身無袴襦。足穿蒺藜,叩頭指口惟言饑。將船送兒去,問以鄕里記憶還依稀。父兮母兮哭相認,聲音雖是形骸非。傍有一老翁,羨兒獨來歸。不知我兒何處餵游魚,或經略賣遭鞭笞。垂頭涕下何纍纍,吾欲竟此曲。此曲哀且悲,茫茫海内風塵飛。一身不自保,生兒欲何爲。君不見菫山兒。」
とある。
※一夫当関:一人の男が関(せき)を守れば。 ・一夫:一人。 ・当関:関(せき)を守る。「一夫当関,万夫莫開」:「一夫関に当たれば万夫も開ひらくなし」のこと。我が国の鳥居忱の『箱根八里』の「箱根の山は天下の險 函谷關もものならず…一夫關にあたるや萬夫も開くなし」は、ここに由来する。なお李白は晋・左思の『蜀都賦』の最後の部分、「一人守隘,万夫莫向」に因る(『昭明文選』卷四 春風文芸出版社『昭明文選』上 八十二ページ十九行目)。
※万夫莫開:万人の男(が攻めてきても、関を)通すことが出来ない。 ・莫開:通すことが出来ない。 ・莫:否定・禁止の辞。ここでは否定。 ・開:とおす。あける。
※所守或匪親:守るところの者が、或いは、腹心や親族でなければ。 ・所守:守るところの者。「守」の名詞化した表現。 ・或:ひょっとしたら。…かもしれない。あるいは。副詞。 ・匪親:腹心/肉親でない意。 ・匪:「非」の意。
※化為狼与豺:(要衝を占拠して叛逆し、)オオカミやヤマイヌ(のような残忍非道な者)に変わる(かも知れない)。 ・化為:…に変わる。化して…となる。中唐・王建の『望夫石』「望夫處,江悠悠。化爲石,不回頭。山頭日日風復雨,行人歸來石應語。」とある。 ・望:高い所や遠い所をのぞみ見る。また、待ちのぞむ。ここは、両者の意で使われる。 ・夫:おっと。一人前の男子。おとこ。 ・与:…と。…と…と。接続詞。介詞との違いはこちらを参照
。 ・豺:〔さい;chai2○〕ヤマイヌ。「狼与豺」(豺狼)で、ヤマイヌとオオカミ。残忍非道な者の譬喩。
※朝避猛虎:朝(あした)に、猛虎の害を避けたかと思えば。 ・朝…夕…:絶えず…する。常に…する。朝(あさ)に…して、夕方に…する。
※夕避長蛇:夕べには、長い蛇の害を害を避けている。
※磨牙吮血:(猛虎や長蛇は、)牙(きば)を磨いて血をすすり。 ・磨牙:牙(きば)を磨く。 ・吮血:血をすする。 吮:〔せん、しゅん;shun3●〕吸う。すする。吸い取る。
※殺人如麻:(猛虎・長蛇は、)人を殺すこと麻の如く多い。 ・如麻:多いことの形容。密集していることの形容。また縺(もつ)れるように乱れることの形容。「亂如麻」:麻(あさ)糸が縺(もつ)れるように乱れることの形容。ここは、前者の意。盛唐・李白の『永王東巡歌』に「三川北虜亂如麻,四海南奔似永嘉。但用東山謝安石,爲君談笑靜胡沙。」とある。
※錦城雖云楽:錦官城(=成都)は、すばらしいとはいっても。 ・錦城:錦官城のことで、成都(現・四川省の成都)の別名。その地の産物である錦を製造・管理する役所があったのでいう。=錦官城、錦里城。唐・杜甫の『贈花卿』に「錦城絲管日紛紛,半入江風半入雲。此曲祗應天上有,人間能得幾回聞。」とあり、同・杜甫の『蜀相』に「丞相祠堂何處尋,錦官城外柏森森。映堦碧草自春色,隔葉黄鸝空好音。三顧頻煩天下計,兩朝開濟老臣心。出師未捷身先死,長使英雄涙滿襟。」
とあり、同・杜甫の『春夜喜雨』に「好雨知時節,當春乃發生。隨風潛入夜,潤物細無聲。野徑雲倶黑,江船火獨明。曉看紅濕處,花重錦官城。」
とある。ただし、杜甫の『戲作花卿歌』では「綿州」という表現もある。この綿州とは成都(=錦官城)の東北100キロメートルの所の地名(現・綿陽市一帯)であって、成都(=錦官城=錦城)とは100キロメートル離れた別のところ。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)65-66ページ「唐 剣南道北部」に詳しい。 ・雖云:…とはいっても。…とはいえ。…ではあるが。
※不如早還家:早く家に帰ったほうがよい。 ・不如:…たほうがよい。…にしかず。 ・還家:家に帰る。
※蜀道之難難於上青天:蜀(=四川)の道の困難さは、青空に上(のぼ)るのよりも難しい。
※側身西望長咨嗟:身をそばめちじめて、西(=蜀)の方を望んで、深くため息をついてなげいている。 ・側身:身をそばめちじめる。おそれつつしんで安らかでないさま。「側」は:そばめる。かたよせる。そばだてる。もたげる。かたむける。 ・咨嗟:〔しさ;zi1jie1○○〕なげく。ため息をついてなげく。
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◎ 構成について
韻式は、「AAAAAAABBBBBBAAccDDDDDDEEEE」。韻脚は「天然煙巓連川援 巒歎還攀間山 天顔 尺壁 豗雷哉嵬開豺 蛇麻家嗟」で、平水韻で下平一先=A、外。この作品の平仄は、次の通り。
◎○?○○○○,
●●○○○○●○○,(韻)天
○○●○○,
○●○○○。(韻)然
●○●●●○●,
●●○●○○○。(韻)煙
○◎●●●●●,
●●○●○○○。(韻)巓
●○○○●●●,
○●○○●●○○○。(韻)連
●●●○○●○○○,
●●○○●●○○○。(韻)川
●●○○●●●◎,
○○●●○○○。(韻)援
○○○○○。(韻)盤
●●●●○○○。(韻)巒
○○●●●●●,
●●○◎●○◎。(韻)歎
●○○○○○○。(韻)還
●○○○●●○。(韻)攀
●●○●●●●,
○○●◎●○○。(韻)間
●◎●○○●●○○○。(韻)山
●●○○○○●○○。(韻)天
●○○●○○○。(韻)顔
○○●○●○●,(韻)尺
○○●●●●●,(韻)壁
○○●○○○○,(韻)豗
○○●●●●○,(韻)雷
○●●●●,
○●●●○○○○○○○,(韻)哉
●●○○○○◎。(韻)嵬
●○◎○,
●○●○。(韻)開
●●●●○,
●○○●○。(韻)豺
○●●●,
●●○○。(韻)蛇
○○●●,
●○○○。(韻)麻
●○○○●,
●○●○○。(韻)家
●●○○○○●○○,
●○○◎○○○。(韻)嗟
2015. 4.15 4.16 4.17 4.18 4.19 4.20 4.21 4.22 4.23 4.24 4.25完 10.22補 2017. 8.12 |
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