1997 Warner Bros. Records |
闘魂と洗練という、まさに相反するような言葉がjoe sampleの円熟味を帯びた手腕によって、見事に今回のアルバム「Sample This」に結実しました。
リリシズム溢れる初期の色調は、ここ数年の言わば晩年期に及んでヴィンテージワインのようなまろやかさとコクを増し、素晴らしい深い味わいを醸し出しています。底光りするほどにjoe sampleの凄味がここにきて際立ってきました。
かといって「癒し系」のサウンドとは明らかに趣を異にします。試しにこのアルバムを聴いて下さい。静かな洗練されたメロディーが流れてきても、そこから僕らが感受するのは感情の昂ぶりです。肉体の芯から、ハートの核心から徐々に熱くなってくるのをあなたは確実に感じるはず。これぞクルセイダーズが長年培ってきた「闘魂」のパワーですヨ。そうざらにはありません。
クルセイダーズ時代の、「あの頃聴いたあの曲」が、渋いスタイルで今に甦りました。
クルセイダーズとして快進撃を開始した時の名曲「Put It Where You Want It」が唸るほどのカッコ良さに彩られ、また全盛期の大ヒット曲「Street Life」が街頭音も交え臨場感溢れるスタイリッシュなサウンドとなって、そして「Snowflake」が今回はいともさわやかで円やかなカクテルとして僕たちの前に供されました。
極めつけは畢生の名曲「Soul Shadows」、20年の年輪を刻んだ「闘魂」の一刀彫りでリメイク。
joe sampleは、さりげなく一級品のダンディズムを見せてくれました。
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