この人に白衣を着せたら、科学者に見紛うばかり。まことに神経が細やかそう。鍵盤から流れ出す音色はまさにクリスタル。でも見かけとは裏腹に、核にマグマのように煮えたぎるファンキー魂が存在するのも、また確か。「SOUL SHADOWS」がポンと生み出されたのは、その何よりもの証しでしょう。

ここのところ毎回joe sampleのアルバムの聴き尽くめ、それでつくづく思うのですが、 joe sampleの紡ぎだすピアノの音色は心の扉をそっと開けてくれる魔法のような魅力がありますネ。
心の玉手箱からは思い出の数々や懐かしい友人の記憶がたまゆら宝石の輝きを放って甦ります。
折から好きだった俳優、室田日出男氏の訃報が飛び込んできました。不思議なものですネ、「VOICES IN THE RAIN」が符節を合して、あたかもこの室田氏の御冥福を祈る静かなレクイェムのように、梅雨の雨音とともにしっとりと心にしみいってきます。その静かな一音一音にこもる熱い魂が室田氏の役者魂と重なります。「仁義なき戦い」、「駅」、「やくざの墓場」等圧倒的存在感を示された室田氏。別れのインタビューでの女優岡田まり子さんの涙はことのほか重かった。
「VOICES IN THE RAIN」は、また思い出の扉を開ける心温まる１曲となりました。