このCDの存在は以前から知っていました。ただモダンジャズということで、どうしても購入に足踏みしていたのです。いつものファンキーでアグレッシブなJOE SAMPLEのサウンドとはかなり毛色の違ったアルバムに違いないという予想から敬遠していた訳。
勿論傾聴に吝かではありません。ただ身銭を切ってまではという倹約観念が優先したのです。
なのにこうやって購入して傾聴に及んだのは、再三ネット・サイトでこのCD紹介を矯めつ眇めつ、曲目のなかの「黒いオルフェ」に視線がいき、気になってしょうがなかったのです。
大好きな「黒いオルフェ」とJOE SAMPLEのクリスタルタッチの融合、それを想像しただけでゾクゾクしました。
で、その結果はといいますと、「黒いオルフェ」はJOE SAMPLEの鍵盤から湧き出た「硝子水」
が静かにしっとりと感性の喉の渇きに染み入ってくるような趣き。この音の強弱、緩急自在、独特のスナイパーの「闇」を醸成するマイスターのハートは実に鮮やかでしなやかなものでした。「ROUND ABOUT MIDNIGHT」にも魅了され、「FUNKY BLUES」に心踊らせ、何も敬遠する必要はなかったのです。
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