この人に白衣を着せたら、科学者に見紛うばかり。まことに神経が細やかそう。鍵盤から流れ出す音色はまさにクリスタル。でも見かけとは裏腹に、核にマグマのように煮えたぎるファンキー魂が存在するのも、また確か。「SOUL SHADOWS」がポンと生み出されたのは、その何よりもの証しでしょう。

まるで長年愛用した桜製デスクの艶やかな滑りをたたえた木肌の感触とか、 ツイードの洋服生地とかを思わせるCDジャケットのシックな装い。そのジャケットの肌触りだけで、 既にこのアルバムが極上であることを予感させて余りあります。 何と愛情に満ち溢れた優しい表装でしょう。
一言でいって、このアルバムは、セレクトされた佐藤博さんのジョー・サンプル愛、クルセイダーズ愛の結晶です。 純粋なまでの敬愛と熱情に満ちているから結晶を成しています。料理人によって選ばれた一品一品の佳肴。 お品書きに添えられた佐藤さんのコメントに愛情の深さを感じます。Joe Sampleを愛で尽くした人だからこそ できる練りに練った間然するところのない構成で、文字通り至上のアルバム。
佐藤博さんが言っています。「ジョーサンプルが弾くことによって、ちゃんと彼の音になっていたんですね。 彼が弾く一つ一つの音の切れやリズムの切れのよさ」・・・ これぞJoe Sampleの湧水サウンドで、 炎天下、喉の乾きを癒す冷たい湧き水のように、疲弊したハートに慰労の按摩と活力を与えてくれます。
それにしても、今更ながらではありますが、そのスタイルたるや格好良いったらありゃしない。 侠があり、艶があり、遊び心もある。男の色香が漂い、編者の佐藤さんがぞっこんになるのも尤もです。 ますますJoe Sampleが、クルセイダーズが好きになりました。