Joe Sampleが、ひとりピアノを通して語りかけるモノローグ珠玉の一枚。
いつもは気の知れた仲間と飲み交わしていた音の酒宴から遠ざかり、今回はひとり
ピアノと差し向かいゆっくりと盃を傾ける。
過去の甘酸っぱい郷愁やら現在の心境に想いを巡らしながら、ただひたすら鍵盤の香気に酩酊するひととき。Joeの独白に耳を傾けながらも、自身の過去現在未来にこれまた想いを馳せながらほろ酔い気分になってくる。耳に含んだサウンドの風味がハートいっぱいに広がっていく心地よさ。
ほど良い酩酊は人を我が儘にさせるもので、Joeの独白に惹き付けられたり、馬耳東風気味に虚ろになったり。身勝手ながら、僕なぞ、クルセイダーズ近辺を語ってくれる「SOUL SHADOWS」や「SPELLBOUND」にどうしても偏って心酔してしまいます。
映画「レオン」のジャン・レノがつかのまの安らぎに無邪気に少女と戯れるように、スナイパーJoe Sampleは童心に帰ってディキシーの郷愁に酔いしれている風。
たまには一人盃片手に、スナイパー初めての独白に虚心に聴き入り、千鳥足で時間旅行してみるのも乙なものです。
|