まさに絶妙のタッチという言葉がピッタリの「CANNERY ROW」、この曲ほどjoe sampleとstix hooperとの息の合ったプレイを聴いたこと
がありません。
クルセイダーズでがっちりと組んできたこのお二人の、一糸乱れぬプレイの織り成すファンキーサウンド・タペストリーを聴くと、どうしても繊細な殺し屋の身のこなしを想像してしまいます。
ダークなブラックのコンポラスーツに身を包み、愛用のワルサーを手品師のようにあざやかに操るのは、例えば邦画の俳優で言えば、あの既に故人とはなった奇優・岸田森あたりを思い浮かべてしまうのは突飛な連想でしょうか。クールで一種不気味な雰囲気はあるものの、どこかユーモラスな風情。狙った標的はくるいなく射止める手際のよさ。寸分の呼吸の乱れもない、きわめて活きの良い踊るようなタッチの「CANNERY ROW」は
この感じにピッタリのような気配を感じるのですがいかがなものでしょう。
ところでこのスペインの修道僧が命名したというCARMELという、すこぶるカトリックの宗教的な土地柄の海辺に一人佇み、押し寄せる海波の波動と水泡をじっと凝視するjoe sampleの胸に去来する思いとは一体何だったのでしょうか。ジャケットに記されたjoe sampleの言葉の中に「She is a symphony of life」という文字が、ふと垣間見られました。
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