1985 MCA Records |
足音を忍ばせ、記憶の彼方からにじり寄ってくる邦画「関東幹部会」。
なかでもこの映画で3作目の出演となった原田芳雄の面影が甦ります。
のっけから唐突ですがこのアルバム「OASIS」の収中、もっとも心の琴線に触れた曲が「NEW PLACES,NEW FACES」で、何故かこの曲を聴く度に、きまってこの原田芳雄のことが思い出されるのですヨ。
低音のベースのフレーズで始まり、JOE SAMPLEのリリカルなサウンドが絡んでくるこの小気味良い曲は、確かにクルセイダーズにとっても、80年代半ばという言わば過度期に産み出されたものではありました。
そして「関東幹部会」もまた、斜陽化する日活の過度期に多産されたやくざ映画の中で、澤田幸弘監督が叩きつけた、柔な青春への壮絶な破門状だったのです。
新興ヤクザの幹部として登場し、渡哲也に「寺田さん、あんたのやり方は古いんダヨ」と半ばアドリブを交え、やけっぱちな台詞回しで立ちはだかり、最後には哲兄ィにドスでわき腹を掻っ切られ、身もだえしながら憤死する原田芳雄の役柄は今思い起こしても鮮烈なものでした。
この作品から一年足らずで日活はその長い歴史へひとまず終止符を打ち、あの「にっかつロマンポルノ」の時代へと横滑りしていくのでした。
「NEW PLACES,NEW FACES」のベースの重低音のフレーズとリルカルなピアノとの「禍福」のあざなへる縄のようなサウンドは、確かにJOE SAMPLEにとっても過度期のものだったのでしょう。そして、おそらくJOE SAMPLEの心中でも葛藤があったと想像されるこの時期に、ハートに届くベースを担当しているのは誰あろう朋友WILTON FELDERでした。
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