今宵、この芳醇な味わいに満ちたアルバムを聴けることの幸福に、まず感謝しなければなりません。
おそらくジョーサンプルの脳裏には、鍵盤に指を走らせながらも、あのクルセイダーズの怒涛の日々がセピア・カラーの色調で、甘酸っぱい懐かしさをはらみながら甦ってきたのではないでしょうか。
足音を忍ばせ歩み寄ってくる懐かしの日々。「THE SONG LIVES ON」から如実に感じる郷愁のヒストリー、おそらくJOE SAMPLEにとっては忘れがたいクルセイダーズの面々。
その思い出に火が点り今回のアルバムができました。
そう思わざるを得ないまでに、このアルバム、無性に万感胸に迫るものがありますヨ。
控えめで静かな「A Long Way From Home」に脈々と宿る男気の美学、テキサス魂。「Street Life」も、「When The World Turns Blue」も熟成の速度で時間が逆流するのを感じます。まさに「人生とは思い出ならずや」です。
解説を読んでびっくりしました。数年前にジョーサンプルが死線を彷徨ったナンテ。知りませんでした。言葉につまりました。
もう何も言葉は要りません。この命がけの名盤をじっくり聴いて下さい。
全篇実にゆったりとした命のたたずまい。力強く炎を揺らす命の力。やっぱり命って燃え上がるものだって確信させられること必至でありましょう。
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