予感はありました、きっと良い映画が見れるだろうと。
2004年3月にクルセイダーズが来日した時のメンバーの一員Nils Landgrenと
わがJoe Sampleがタッグを組んで、アルバムを作り上げました。
タイトルは「CREOLE LOVE CALL」。共演者もクルセイダーズに縁深い錚々たる
顔ぶれ。コレが面白くないはずがありません。
あのブルーノートでNils Landgrenを初めて見たときの鮮烈な印象が忽然と蘇ります。
開演間近、入り口から店内に無造作に入ってきて、舞台を横切った黒いダッフルコートをまとった男。丸刈りにした
一見ボクサーを思わせるその容姿に一瞬危険な風がそよぎました。この御仁こそNils Landgrenその人で、共演者を
選ぶクルセイダーズの慧眼に納得しました。
アルバムの筋立てもメリハリがあり、ミュージカル好きだと伝え聞くマイスターJoe Sampleが練りに練った
構成であるに違いありません。「Soul Shadows」を4曲目に置き、「One Day I Fly
Away」を中程に据え、ラストに「Same Old Story」を配し、
エンデイングロールに牧歌的な「Creol Love Call」で
余韻をかみ締めるという天晴れなお品書き。
マァどこから聴いても、男の体臭が芬々とテキサス辺りから漂ってくるアルバムで、
目を閉じればクライム・ムービーが見えるでしょう。
この全体に漂う体臭が、
「ワイルド・バンチ」や「ガルシャの首」のウォーレン・オーツの男臭さを連想させるのです。
冒頭の「Get Out Of My Life Woman」の愛逮としたバラッドに、若干鼻にかかったNils Landgrenの声質が
見事なまでにマッチしています。
「Dock Of The Bay」で虜になり、「Soul Shadows」で胸熱くなるは必定です。
別段お酒も入れていないのに、「Same Old Story」を聴きながら、
「夕焼けがある、世界で一番悲劇的な、それゆえに世界で一番美しい夕焼け」と
詩人高橋睦郎著「頌」の一節を口ずさんでは、無性に熱くなってくる始末で、
昨今の冷えきった男心にいささかウンザリしていただけに、「男らしさ」を満喫できるCDに出会えて、
溜飲を下げました。
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