この人に白衣を着せたら、科学者に見紛うばかり。まことに神経が細やかそう。鍵盤から流れ出す音色はまさにクリスタル。でも見かけとは裏腹に、核にマグマのように煮えたぎるファンキー魂が存在するのも、また確か。「SOUL SHADOWS」がポンと生み出されたのは、その何よりもの証しでしょう。

あの「仁義なき戦い」の深作欣二監督の映画は、きまってファーストシーンが「動」から始まります。これから始まる血で血を洗う抗争のストーリーの口火を切るのがこの序幕の「動」のシーン。 何故にのっけからこんなことを言い出したのかといいますと、このCDジャケットのJOE SAMPLEの肖像写真が、「仁義なき戦い・組長最後の日」に脇役で出演した梅津栄さんにソックリに見え、ふと深作監督の映画のことを思い出した次第。
それにこのベストアルバムも、「VIVA DE FUNK」というとびっきり活きのいい「動」の曲から始まります。
収録されているのは、９０年から９７年までの、ほぼJOE SAMPLEがクルセイダーズから離れてからのもの。
夜の芳香剤「INVITATION」からはムーディーな「SUMMERTIME」、スタミナ・アルバム「DID YOU FEEL THAT」からはこれぞ「仁義なき戦い」の新テーマ曲とでも呼びたい格闘系「MYSTERY CHILD」など、演出を柔剛織り交ぜながらエンディングテーマの「STREET LIFE」に至るまで、今や油の乗り切ったマイスターは、腕によりをかけ、メリハリの利いたアクション映画に仕上げたのでした。
1 from"Did You Feel That?"1994
2 from"Sample This"1997
3 from"Old Places Old Faces"1996
4 from"Spellbound"1990
5 from"Ashes To Ashes"1990
6 from"Did You Feel That?"
7 from"Spellbound"1989
8 from"Ashes To Ashes"1990
9 from"Invitation"1993
10from"Old Places Old Faces"1996
11from"Sample This"1997