あの東京JAZZの夢のような一日から早くも一ヶ月が経ちました。Wilton Felderが急遽入院し来日が困難になったとの
報を聞いたとき、年甲斐もなく涙に咽びました。それでも気を取り直して東京JAZZに馳せ参じました。
そこでのラ・マンチャの男さんとの出会いも嬉しかった。クルセイダーズの縁です。
その後半斤八両さんからの報で、NHKラジオFMで東京JAZZがリアルタイムで放送されたことを知りました。
そして録音ファイルを聞かせていただきました。まぁ吃驚しました、実にクリアーな録音でライブでのクルセイダーズ
の空気感が見事に伝わってきます。この時の感慨は「いやぁ、やっぱりクルセイダーズだわ、闘魂むき出し、
さすが!」。
「On Broadway」、「Sunset In Mountain」「The Thing」での2管ユニゾンを前面に据えて畳み掛けてくるとこなんざ、「殴り込みサウンド」の面目躍如です。
「Scratch」でのJoe Sampleの豪腕の鍵盤タッチから始まり2管ユニゾンが斬り込むあたり正直鳥肌たちました。
Wayne Henderson元気あるわ!クルセイダーズのファンでありWilton Felderを尊敬する
一宿一飯のGerald AlbrightもWilton Felderに代わって文字通り全身全霊で
ブローする。テナーが熱い。クルセイダーズ魂が奔流する。胸熱くなってきます。
Gerald Albrightさん、アンタ男だ。
それにしてもこの一夜Joe Sampleのハッスルぶりには目を見張ります。傍目には怒っているようにさえ見える
ほどでした。鍵盤を弾くJoeさんの躍動的な姿はまるでボクサーでした。
放送中の住吉ミキアナンサーのインタビューでWayne Hendersonが語った言葉が脳裏をよぎります。
「Joe Sampleが後ろからブロウ、ブロウ、もっと吹けって煽るんで吹かされたヨ」。
「Street Life」は思い出のゴブラン織り、クルセイダーズのバラッド。
Gerald Albrightのテナーが有楽町の夜景を色っぽく染め上げる。Joe Sampleの情感サウンドが
アルコールのように体内に染み渡ります。
「Way Back Home」の演奏をバックに、Wayne Hendersonが各プレイヤーの紹介をする際、Joe Sampleのことを
「子供時代の恋人」(my childhood sweetheart)と言ったその一言を聞いただけも、心底東京JAZZに行った甲斐がありました。
ライブ直後のバックステージで、
住吉ミキさんがJoe Sampleにこれまで50年にわたってクルセイダーズが続いてきた
秘密を尋ねると、5月の数日間のオークランドのライブ後でのベーシストであり息子でもあるニックとの
会話を引き合いにしてJoe Sampleが語ります「ニックが、お父さん、僕もうヘトヘトだよ。足もがくがく
で立てないよ、どうしてお父さんたちこんなにパワフルで力強く元気に演奏できるのと、言うんだヨ。
・・・その強さが秘訣じゃないかな」と。
まさにわが意を得たりのインタビューで、自身、クルセイダーズファンであり続けてきたのが
パワフルで元気、つまりは強さの素「闘魂」の所以。だからクルセイダーズは、
いまも恋人です。
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