The Gate Of Nagoya Blue Note |
実は今回のライブでは一曲一曲を満喫するというよりも、不思議な出会いと喜びの中で、
クルセイダーズ海峡の渦に呑まれていったような境地だったのです。ですからどういう曲の経過であったかも
全体が蜃気楼のように虚ろ。それだけ夢見心地だったのでしょう。
背後からGパパさんの気合の入った合の手や、
Ray Parker.Jrに「ウーマン ニーズ ダット」と英語で囃す半斤八両さんのボイスなどが聞こえてきたり、斜め横の
ファンが激しく体を左右に振ってSteve Gaddのリズムに乗っている波動をひしひしと感じながら、
気分はすこぶるハッスル・ハッスル。
この夜のライブは、確かに「闘魂」が名古屋ブルーノートいっぱいにみなぎっていました。
今まで観たライブをはるかに凌駕する熱気が充満していました。
スキャットがはっきりと聞こえるほど口ずさみながら演奏するJoe Sampleを初めて目のあたりにしましたし、司令官さながら
ピアノの前に立ち上がり声を上げて身振り手振りでソロ演奏を指図する姿は圧巻でした。
Wilton Felderのサックス吹奏に聞き惚れているように見受けられるNils Landgrenが、その師に見てくれと
いわんばかりに熱気あふれるソロをアグレッシブに展開する。まさに「やる時はキッチリやる」(Gパパさんの言)
喧嘩屋ニルスの面目躍如。
用意された水のペットボトルを演奏の合間に一気に飲み干す姿、ボーンから滴り落ちる唾液の量、
ボーンを拳銃のように回転させる子供っぽい仕草などに「乗りっぷり」が窺えます。
Steve Gaddとも相性抜群。
Ray Parker.Jrのエンターティメントぶりもお見事。ギターソロのときに見せる軽快な体の動きと
茶目っ気たっぷりの表情がたまりません。弦のとどろきとその弾く仕草が絶妙にマッチし、
なんともエロティック。ついついうっとりとなる熟年のご婦人方もおられるのでは。
ソロこそなかったもののNick Sampleは顔を紅潮させ、汗みずくの体から陽炎が揺らいでいると錯覚するほど終始一生懸命。その真剣さが胸をうちます。
定番「Way Back Home」に代わって突如Joe Sampleの紹介で演奏が始まり
ついに最後まで曲名を思い出せなかった「Hard Times」では、威風堂々と「わが道を歩んできた」
Wilton Felderの生きざまが野太いテキサステナーサウンドとなって、ハートに染み入ります。
ライブが終わると、相席し互いに熱狂した中年ファンの方や隣席の青年とも親しく握手を交わしました。
余韻をかみしめながらも、「突撃して何とかクルセイダーズと一緒の写真撮れませんかネ」という問いかけに、
「もうライブ演奏でぐったり疲労しているでしょうから、思い出の中だけに今夜のライブは残しましょう」とさりげなく
おっしゃったGパパさんにこれまたクルセイダーズ流の男気を感じたのでした。
その後の半斤八両さんとの夜の名古屋弥次喜多道中記は「クルセイダーズが好きで・・・」でご覧あれ(笑)。
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