2000SonyMusic |
Ronnie Laws関連のアルバムをamazonで調べていたら、奇しくも「グローヴァー・ワシントンJr.トリビュート〜
グローヴァーに愛をこめて」という哀悼アルバムに出くわし、その中にJoe Sampleの名前を見つけました。
わがJoe Sampleがグローヴァーに弔意の旋律を奏でていることを知ると、熱いものがこみ上げてきて、
今は亡きGrover Washinton,Jr.に思いを馳せていました。
Grover Washinton,Jr.は、クルセイダーズのWilton Felderとともに心底惚れたサックス奏者です。
この敬愛していたGrover Washinton,Jr.が1999年12月18日に急逝しました。テレビ放送のための
演奏収録後、楽屋で心臓発作を起こし、それから一時間後に息をひきとりました。享年56歳という
若さに、まだ早すぎるという無念の思いに駆られると同時に、もうあの甘いメロディーは二度と
聴けないのかと思うと、何か後生大事に持っていた宝物をなくしてしまったような寂寥感に
とらわれました。
亡くなる半年前に録音されたGrover Washinton,Jr.最後のアルバムが「アリア」です。
添付された解説書によれば、アリアとは「オペラなどの規模の大きい劇的な作品で歌われる
独唱歌曲で、歌手はここで心情を吐露する」と。プレーヤーにこのCDをセットし、スィッチを
入れた数秒後、感動に鳥肌が立ちました。
至上の輝きがありました。想いの全てが結晶しているようでした。入魂のアルバム。
Grover Washinton,Jr.は、この境地へ到達したかったの
でしょう。解説者工藤由美さんの「グローバーは極めてしまったのだ。この世に遣り残したことは
ないのだ」という言葉が胸を突きます。
こんなに音色そのものが幸せに満ち、祈りにも似た「真珠採り」を聴いたためしはありません。
この世に魂があることを改めて実感し胸熱くなりました。それは確かに魂の輝きでした。
「熱情は砂をも焼く」、まさにその瞬間、熱情は一個の高貴な魂と化したに違いありません。
今再び手持ちのアルバムを聴きなおしてみると、あのビッグヒットとなった、
極上のワインにも似た芳醇な味わいと甘美なメロディーに満ちた「WINELIGHT」
から新旧織り交ぜ、軽快で思い入れたっぷりの曲目群の収録された追悼盤「Prime Cuts」にいたるまで、
Grover Washinton,Jr.が根っからのロマンティストだったのではないかと、しみじみ感じ入りました。
感無量の想いで本当にサックスが好きでよかったと目を閉じました・・・Grover Washinton,Jr.、あなたに
出会え、あなたの演奏を聴けてよかった、今、心から哀悼と感謝の意を表します。
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