Bobby Caldwellの名前は大好きなクルセイダーズのアルバム「Happy Again」で知りました。
ジャズ・クルセイダーズ名義のアルバム「Happy Again」は、時あたかもクルセイダーズのメンバーが散り散りになり、
クルセイダーズそのものが消滅してしまうのかと危惧していた矢先に発表されたアルバムで、まるでクルセイダーズに救いの手が
差し伸べられたかにも思える、神の降臨のようなアルバムでした。何を大袈裟なと言うなかれ。その後のジャズクルセイダーズの
精力的な活動なくして、あの「事件」と騒がれた2002年の復活劇はあり得たでしょうか。
その起爆剤となったのがこのアルバム、「Happy Again」だったと思えてなりません。
もちろん、その立役者はWayne HendersonとWilton Felderです。
「Happy Again」は、あの最強のユニゾンが、
Larry CarltonやHubert Lawsなど以前クルセイダーズに関わった仲間の協力を得て作り上げたもので、
添えられた解説書に見開きで紹介されたスタジオ演奏光景のフォトからは、その空間の熱や嬉々とした躍動感が
直に伝わってくるようです。その中に、Wayne HendersonやWilton Felderと楽しく肩を並べたBobby Caldwellの
写真があったのです。
「Happy Again」にはBobby Caldwellのボーカルをフューチャーした曲が二曲あります。「Fools Rush In」と
「JAMAIKA」です。いずれも夏のスコールのようなボーカルの佳曲で、
アルバム全体の夏の空気感にぴったりマッチして一抹の清涼感をかもしています。
このアルバム「SOUL SURVIVOR」には、クルセイダーズに関しては「Happy Again」にあった「Fools Rush In」一曲のみの再録。
解説によれば、Bobby Caldwellはクルセイダーズのレコードを聴いて育ったそうで、「Happy Again」でのレコーディングに
ついて「本当にいい経験だったね。僕なんてまだまだ全然ダメだって実感させられた。今度ばかりはビビったよ」と敬服して
います。Bobby Caldwellもビビるほどのクルセイダーズ。そんな偉大なるクルセイダーズへの敬愛が、このアルバムの最後に
控えめに「Fools Rush In」を配置しているところに窺えます。万事「徳」は控えめなもの。小さい徳利ほど「とくとく」と良い
音がするものです。
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