注・徐々にアップ予定
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ONE FOR YOU |
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和風ダンディズム
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VICTOR |
居酒屋でHYさんから、このアルバムが今年上半期ベストといった話を聞いて、久方ぶりにナベサダ節を
聴いてみたくなり、「ONE FOR YOU」を購入しました。これも誼でしょう。渡辺貞夫さんの音楽に毎日と
言って良いくらい浸っていたのは二十歳前半の頃で、当時埼玉は大宮市のアパートに一人暮らし、土曜の
夜といえば渡辺さんのラジオ番組「マイ・ディアー・ライフ」を楽しみに、欠かさず聴いていたものです。
ですからナベサダ節を聴けば、自然のなりゆきで、あの頃の思い出が甘酸っぱい感傷とともによみがえって
きます。やり場のないエネルギーを匕首のようにしのばせ、ここではない何処かへとあてどなくネオンまたたく
夜の繁華街を彷徨していたあの頃・・・
私事はともかく、久々にナベサダ節を聴いて素直にハートに去来するのは「和風」という言葉。襖や障子の柔らかな
和紙の感触と渡辺貞夫さんのアルトの艶っぽさが重なります。温かくて柔和な音色に、うっすらと日光の差し込む
障子に映える陰影がかもし出す「和のたたずまい」を感じます。三島由紀夫流に表現すれば、あがき昇るような西洋の
「垂直のエロティシズム」ではなく、あくまで浮世絵から匂い立つ「水平のエロティシズム」とでもいうのでしょうか。
これは、毎朝味噌汁と焼き魚におしんこをおかずにご飯を食べる習慣の日本人にしか良く分かり得ない繊細微妙な感性
なのかも知れません。
それにしても「ONE FOR YOU」の艶、「TEMBEA」の少年のまなざし、「BONA PENDA」の侠気、「I THOUGHT OF YOU」の色合い、
「PONDA」の哀感は絶品です。
聴きながらふと吉行淳之介氏の本を読んでみたい衝動に駆られ本棚から2,3冊の著書を手にしていました。それは、
「不作法紳士」や「春夏秋冬 女は怖い」などのいかにも吉行さんらしい軽妙洒脱なエッセイで、肩から力みの取れた
大人の語り口が、ナベサダ節に合いそうな気がしたのです。
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1.ONE FOR YOU
2.TEMBEA
3.BONA PENDA
4.I THOUGHT OF YOU
5.WAITING SONG
6.PONDA
7.LIFE IS ALL LIKE THAT
8.BASIE'S AT NIGHT
9.SEE WHAT HAPPEN
10.CARINHOSO
Sadao Watanabe(as)
Richard Bona(b,vo)
Etienne Stadwijk(p,key)
Nathaniel Townsley(dr)
N'diasse Niang(per)
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