タイロン橋本氏を知ったのは、おやぢさん!からの情報でした。
居酒屋クルセイダーズで、「Street Life」を歌っている男性日本人歌手がいますヨ、といった内容
の話だったと記憶しています。その後David.T.Walkerの全仕事を完璧に網羅されているウエヤマ氏の
サイトにゲストで登場され、その対談を読むにつけ益々興味を抱きました。
折りしも当サイトで「Street Life」の訳詩を試みていた時で、確認したい箇所があり、直接メールで
お尋ねしたのですが、丁寧な返信を頂き感激したことを覚えています。件の箇所とは、詩全体から
察して、当初この歌が、路上でスポーツをしたりとか、ダンスを踊ったりとかいったまるでナイキのコマーシャル
にでも登場するような明るく健康的なストリートでの日常生活点景を綴った曲とばかり
想像していたのでした。しかしRandy Crawfordの歌っている映像を観た時、コレは違うと直感したの
でした。娼婦の匂いがしたのです。訳詩の作業の中で、やはりこれは、逞しく生きる街娼を歌った
曲に思えてしょうがなかったので、確認したのでした。タイロン橋本氏からの返信はイエスでした。
このCDを手に入れたのは最近です。
実は「Kiss To THe Heart」にたいへん惹かれたのですが、残念ながら、他のアルバムはほとんど入手
できない状況で、わずかネットオークション等で落札するしか手がありません。
写真で観るタイロン氏は恰幅の良いヘビー級の体格で、パワーフルで豊かな声量なのがなるほどと頷けます
。
「Street Life」はRandy CrawfordやLalah HathawayやReichii Guilloryなど多くの
女性歌手に歌われ、それぞれの
持ち味で各様の人生模様に彩られています。とりわけRandyのそれは、艶冶です。
タイロン氏の場合はちょっと趣きが変わります。そのルネ・マグリッドの絵を思わせるジャケット
のコラージュのようにサウンドが何やら謎めいた構成。聴いた印象はミステリアスな「誰が私を殺したの?」
的で、「東電OL」の夜の顔を思い浮かべてしまいました。
ホロリときたのは「Just Two Of Us」や「What A Wonderful World」でタイロン氏のアコースティック
ギターの繊細な音感と情感溢れるテノールの歌声が見事にマッチしています。
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