正直、DVD「LIVE IN TOKYO」の解説の中でウエヤマさんに薦められるまで、年甲斐も無く、あのクラナッハの裸婦像を彷彿とさせる
タッチの、桃色の花びらを股間に纏ったロリータ風のエロティックな下半身のフォトジャケットにうろたえて、この極上のバラッド集を購入するのを躊躇していたのでした。思えばとんだ不覚をとるところでしたが、やはり縁があったのでしょう。
「Lovin' You」には、DVD「LIVE IN TOKYO」でイチコロでした。この曲が、「On Love」への橋渡しになったわけですが、
このアルバムはギターの語り部David T.Walkerの面目躍如で、この素敵なファンキーおじさんが
ギターで愛を物語る時、なめらかで艶やかで詩情豊かな弦の振動が、もっともビビッドにハートを
パンチングボールのように激動させるようです。
収録曲は、儚く美しい線香花火のような「On Love」、
ギターが歌うってこういうことかと肌で実感できるほどにときめきを覚える「I Wish You Love」、
またまた酔いしれてしまった「Lovin'You」や
切ないまでに誰かを抱きしめたくなってくる「Windows Of The World」など愛の佳曲が目白押しで、
「恋は麻疹みたいなもんだぜ、大人になってからは気をつけな」っていう渡哲也扮する人斬り五郎の
台詞が身に沁みるほど恋への誘惑を感じさせてくれます。そんな危険な情事に誘ってくれそうなアルバムで、
なるほどジャケットデザインも身につまされます。
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