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Cool Cool Dandy2  〜Summer Night Festival〜

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第47章

 「だ、誰だ。てめえは」
 カークが銃を構え直した。倒れたアメリアをかばうように白いマントをまとった長身の男が立っている。男は体の前で握っていた右手を開いた。1個の弾丸が音を立てて床に落ちる。
 無言のままの侵入者に恐怖を覚え、カークは男に向けて銃を乱射した。発射音は花火の音に紛れ、校内にいる人々は誰も倉庫で起こっている事件に気づかない。

 男は撃たれるたびに目にも止まらぬ速さで右手だけを動かし、やがてカークの銃がむなしく空撃ちの音を響かせると、掲げていた右手の指をゆっくりと開いた。弾丸が床に落ちてバラバラと散らばる。
 自分の理解の限界を超えた超常現象を目の当たりにして、カークはヒステリックな悲鳴を上げながら、もはや役に立たなくなった銃を男目がけて投げつけた。それより早く白いマントが翻り、男の足が着地した時にはカークは床に伸びていた。

「ピッコロ……さん」
 倒れているアメリアがかすかに声を漏らした。ピッコロは抱きかかえるようにして彼女の上半身を起こした。ショックで気を失っているだけのようだ。心配そうに見守っているディルに、ピッコロは安心させるようにうなずいてみせた。
 倒れたままのカークと戦意喪失してへたりこんでいるイザーセを倉庫にあったロープでそれぞれ縛り上げたあと、マジョラムが折り畳んだナイフをポケットに入れながら近づいてきた。

 ピッコロはアメリアを再びそっと床に横たえて立ち上がった。その背中にディルがおずおずと声をかける。
「あ、ありがとうございました。あの、あなたは―――」
「オレのことは誰にも言うな。アメリアにもだ」
「で、でも」
 アメリアがわずかに呻いた。ディルとマジョラムがそれに気を取られている間に、不思議なマントの男は消えていた。

「ピッコロさんは……?」
 意識を取り戻したアメリアが、優しいまなざしで心配そうにのぞきこんでいるディルに尋ねると、少年は言葉を濁して口ごもった。アメリアはグラウンドから漏れる喧噪に耳をすますようにして、開いている扉から外を見てつぶやいた。
「ピッコロさんが助けに来てくれたような気がしたんだけど……夢だったのかしら」

 アメリアは倉庫の中を見回し、それぞれ縛られてうなだれているイザーセと失神して床に倒れているカークを見つけ、感嘆に目を見はってディルを見た。
「ディル、あなたがわたしたちを助けてくれたの?」
「い、いや、その。そういうわけじゃ―――」
「ありがとう。ディル!」
 困ったな、どうしよう、という表情で振り返ったディルに、マジョラムは小さな声で言った。
「ごめんね……あたしのせいで」
 ディルは傷だらけの顔いっぱいに嬉しそうな笑みを浮かべた。
「いいさ。だってきみは僕の一番大切な……妹だもの」


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